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高解像度気候変動シナリオに基づく大都市圏の風水害脆弱性評価(平成 23年度)
Vulnerability and adaptation to climate change in water hazard assessed using regional climate scenarios in the Tokyo region

予算区分
MA 委託請負
研究課題コード
1015MA001
開始/終了年度
2010~2015年
キーワード(日本語)
適応,水害リスク,土地利用シナリオ,脆弱性評価
キーワード(英語)
adaptation, water hazard, land use scenario, vulnerability assessment

研究概要

人間活動に起因する地球温暖化による気候変動の影響は、生態系、淡水資源、食糧、産業、健康など広範囲の分野に及ぶ。緩和策を講じたとしても気候変動は数世紀にわたって続くため、今後さらに頻度が上がる可能性がある異常気象(極端な高温、台風・梅雨などによる集中豪雨、渇水)が海面上昇などと重複して発生した場合、これまでのリスク評価に基づく都市・地域計画では対処できなくなることが懸念される。そのため、異常気象に伴う水災害・農業被害の頻度や規模など気候変動影響の特性及び社会システムの脆弱性変化について分析・予測・評価を実施し、大都市圏における気候変動影響への適応策を検討するための研究開発が急務となっている。本研究では、低炭素化社会と気候変動へ適応した社会の実現のために、大都市圏特に東京都市圏を対象として、自治体の適応戦略の策定・検討に資する科学的知見を提供するためのシミュレーション技術の開発を目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

低炭素化社会と気候変動へ適応した社会の実現のために、自治体の適応戦略の策定・検討に資する科学的知見を提供することを目的として、風水害脆弱性評価に基づく適応シミュレーション技術の開発を実施する。具体的には、次の課題に取り組む。
高解像度気候変動シナリオを用いた東京都市圏の風水害に対する脆弱性の評価に基づき、自治体の温暖化対策関連担当者との意見交換を踏まえつつ、特に土地利用分野における気候変動適応シナリオの検討を実施するための、新たな適応シミュレーション技術の開発に取り組む。また、自治体の適応戦略の策定・検討に資するために、風水害脆弱性評価および適応シミュレーションの成果利用の一般化を考慮しながら研究開発に取り組む。
本研究は、文部科学省気候変動適応戦略イニシアチブ課題一つである「高解像度気候変動シナリオを用いた大都市圏の風水害脆弱性評価に基づく適応に関する研究」のサブテーマ
4つのうち、2つ(1−2、3−2)を中心になって行うものであり、風水害リスクを取り入れた先進的な土地利用シミュレーション技術の開発を行う。

今年度の研究概要

2010(平成22)年度は、主に関連するデータ整備とモデルのプロトタイプの構築を行った。
前者に関しては、建物密度や建物平均高さ、人口、賃料といった、地域気候モデルの陸面熱水交換過程および土地利用・交通・経済の相互作用を扱う土地利用モデルの構築のために必要不可欠なデータセットの整備を行った。具体的には、地域気候モデルの陸面熱水交換過程および土地利用・交通・経済の相互作用を扱う応用都市経済モデルに必要不可欠なデータセットとして、国勢調査、商業統計、住宅・土地統計調査、事業所・企業統計調査、社会・人口統計体系、地域メッシュ統計、パーソントリップ調査データ等の既存統計データ、あるいは民間会社が整備している不動産(賃料)データ、建物築年数データ、及びこれらを図示するためのGISポリゴンデータについて、1980年代以降、東京都市圏もしくは全国の町丁目〜市区町村単位で整備を行った。
後者に関しては、低炭素化・防災・高齢化などの多面的かつ現実的な視点も考慮した土地利用としての適応シナリオの検討・構築に必要な土地利用モデル(応用都市経済モデル)のプロトタイプの構築に取り組んだ。今後、2010年度に構築したモデルに研究の主眼であるリスク情報を取り込んでいく必要がある。また、モデルの構築・適応策の検討のために関連分野の研究者と勉強会を2回実施した。(1回目は、都市経済モデルの専門家であり、2回目は住民参加型都市計画の専門家である)。これにより、モデル開発の方針、適応策のあり方について示唆を得た。
今年度は、さらなるデータセットの整備と土地利用モデルの高度化を行う。具体的には、
(1)建物密度、人口(人口移動)、地域内総生産(GRP)、建物(賃料、築年数、建て方)、所得、交通、資産分布、家計消費データを、市区町村単位、町丁目単位、3次メッシュ単位等の可能な限り詳細な単位において各種統計調査から収集するとともに、地図ベースの都市的土地利用詳細データ(1万分の1程度の縮尺で、密集低層住宅地、中・高層住宅地、商業・業務用地等の区分)についても、東京23区全域、過去20年分のデータ整備を完了させる。また、建物高さ(航空機SAR等)について、町丁目分解能でデータ整備を行う。さらに、地域気候モデルの検証に必要不可欠な土地利用データについては、明治時代を含む過去100年分の植生データ(25万分の1程度の縮尺で、水田、畑、林地等の区分)を東京都市圏で整備する。
(2) 風水害についての脆弱性を経済的リスクとして評価し、リスク管理の視点から適応シナリオを検討するため、街区レベル(具体的には、町丁目単位)の土地利用モデルのプロトタイプの構築を行い、複数の仮想的シナリオの構築に取り組む。本年度は、特に浸水深や浸水履歴等のリスクデータの入手が容易である東京23区のデータを整備し、水害リスクを考慮した複数世帯タイプと土地利用モデルの定式化と、実データを用いたキャリブレーションを行う。

関連する研究課題
  • 0 : 社会環境システム研究分野における研究課題

課題代表者

山形 与志樹

  • 地球環境研究センター
    気候変動リスク評価研究室
  • 主席研究員
  • 学術博士
  • システム工学,数学,地理学
portrait

担当者

  • 瀬谷 創
  • 中道 久美子
  • 哈斯 巴干
  • 楊 ギョク