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「いぶき」観測データ解析により得られた温室効果ガス濃度の高精度化に関する研究(平成 23年度)
Study on precision improvement of greenhouse gas concentrations obtained by analysis of the "IBUKI" observational data

予算区分
BA 環境-地球推進 A-1102
研究課題コード
1113BA004
開始/終了年度
2011~2013年
キーワード(日本語)
いぶき,二酸化炭素,メタン,精度,エアロゾル,巻雲
キーワード(英語)
GOSAT(Greenhouse gases Observing SATellite), carbon dioxide, methane, precision, aerosol, cirrus

研究概要

「いぶき」は日本が打ち上げた温室効果ガスを主対象とする世界初の地球観測衛星である。衛星搭載観測装置の校正、データ解析アルゴリズム改良、温室効果ガスの初期検証が行われ、温室効果ガス濃度データが一般に公開された。これらを科学的利用に資するためには更なる高精度化が必要である。
本研究は、「いぶき」プロダクトの検証のために3年以上継続的に取得した検証データ、重点サイトで取得した多種多様な検証データによる検証と誤差要因の特定を行う。これを基に解析アルゴリズムの改良を行い、「いぶき」観測データの解析により得られた温室効果ガス濃度の高精度化を行う。
本研究結果に基づき、インバースモデル解析による温室効果ガス収支を含む科学的利用が促進され、将来の炭素収支予測の高精度化の貢献が期待される。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

 3年以上の長期間検証データを用いた季節変動成分や経年変動等の大気化学的視点を考慮した検証を実施する。また、重点サイトにおける地上温室効果ガス高精度観測と同期して巻雲・エアロゾル光学特性の観測体制の構築、データ取得、解析を行う。このようにして得られた地上温室効果ガスデータ、「いぶき」の観測による温室効果ガスデータ、巻雲・エアロゾル光学特性との相関解析を行い、不確かさを明らかにすると同時にその原因を特定する。この検証結果を解析アルゴリズムの改良と解析時に用いる初期値の改訂に反映させ、「いぶき」観測データの再解析を実施する。この再解析による温室効果ガス濃度を検証して高精度化の確認を行う。本研究では、下記の3つのサブテーマにより研究を実施する。
(1)長期間検証データの評価、「いぶき」データ検証とアルゴリズム改良に関する研究
 3年以上の長期間検証データの解析を行い、そのデータ質を評価する。長期検証データと重点サイトで取得した検証データを用いて「いぶき」データの検証を行う。検証結果をもとに解析アルゴリズムの改良と初期値の改訂に反映し、「いぶき」観測データの解析を実施する。この結果を検証し、高精度化の確認をする。
(2)重点サイトにおける巻雲・エアロゾル光学特性観測に関する研究
 重点サイトにおいて地上高精度温室効果ガス観測装置に同期してライダー及び放射計による観測体制を構築する。観測を実施し、取得データの解析を行い、結果のデータ質を評価する。この研究によって得られた巻雲・エアロゾル光学特性データはサブテーマ(1)を中心とした検証に活用する。
(3)重点サイトにおける高精度温室効果ガス観測に関する研究
 重点サイトにおいて地上設置高精度温室効果ガス観測装置を用いた観測体制を構築する。観測を実施し、解析を行い、そのデータ質を評価する。この研究によって得られた高精度温室効果ガス濃度データはサブテーマ(1)を中心とした検証に活用する。

今年度の研究概要

(1)地上設置高分解能FTSデータ、CONTRAILデータ、NOAAデータの解析を行いデータ質の評価を行う。検証によって解析アルゴリズムの改良や初期値の改訂が期待される項目を検討する。必要な場合検証観測方法・項目の検討を行いこれらの変更を行う((2)(3)と連携する)。
(2)重点サイトにおける巻雲・エアロゾル光学特性を観測できる体制を構築し、データを取得し、解析を行いデータ質の評価を行う。
(3)重点サイトにおける高精度温室効果ガスを継続的に観測できる体制を構築し、データを取得し、解析を行いデータ質の評価を行う。

外部との連携

本研究は国立環境研究所を中心に、気象研究所、宇宙航空研究開発機構が研究グループを構成し研究を実施する。

備考

当課題と課題コード1115BY002:環境省請負業務「温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)データ検証業務」が、地球環境研究センター独自のプロジェクトとしての「国環研GOSATプロジェクト」を構成する。
なお、上記の【内容及び成果】は国立環境研究所分担の内容ではなく、本研究課題全体の内容を記載したものである。

課題代表者

森野 勇

  • 地球システム領域
    衛星観測研究室
  • 室長(研究)
  • 博士 (理学)
  • 物理学,化学
portrait

担当者

  • 吉田 幸生地球システム領域
  • 横田 達也
  • 菊地 信弘
  • 井上 誠
  • 中前 久美
  • 内野 修