- 予算区分
- AQ センター調査研究
- 研究課題コード
- 1111AQ003
- 開始/終了年度
- 2011~2011年
- キーワード(日本語)
- 外来生物
- キーワード(英語)
- alien species
研究概要
セイヨウオオマルハナバチは、ハウストマトの授粉昆虫として導入されたが、北海道で野生化し、在来マルハナバチ類や在来植物への生態影響が明らかになり、2006年には外来生物法における特定外来生物に指定された。近年、国内で最も希少な在来種ノサップマルハナバチの限られた生息地である野付半島および根室半島の海岸植生にも侵入を果たした。侵入後、セイヨウオオマルハナバチは当該地域で増加傾向にあり、ノサップマルハナバチへの生態リスクが懸念される。
本研究では、侵入4年後のセイヨウオオマルハナバチの定着状況を明らかにするとともに、近縁種とされているノサップマルハナバチとの生殖隔離機構の実態について把握することでセイヨウオオマルハナバチ商品コロニーの導入による生態リスクを評価する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
北海道野付半島において、現地調査を行い、セイヨウオオマルハナバチの定着状況とノサップマルハナバチの現状を把握する。また、DNAデータバンクおよび文献情報に加え、セイヨウオオマルハナバチおよびノサップマルハナバチにおいて、ミトコンドリアDNAおよび核DNAの分子系統解析を行い、セイヨウオオマルハナバチおよび近縁種の分子系統関係を整理する。これによりマルハナバチ類における種・亜種間交雑のリスクを予測する。同時に種・亜種間における生殖隔離機構について、野外で採集した女王の貯精嚢内精子のDNAを調べることにより種間交雑の実態を明らかにする。これらの結果をふまえて、セイヨウオオマルハナバチ商品コロニーの導入による種・亜種間における交雑リスクを評価する。
今年度の研究概要
H23年度は、サンプル採集と現地調査を実施するとともに、セイヨウオオマルハナバチおよび近縁種の分子系統解析を行う。同時に室内実験により種間交雑の可能性を検討する。
(1) サンプル採集および現地調査
日本では、北海道野付半島において、越冬後のノサップマルハナバチおよびセイヨウオオマルハナバチの女王を採集する。また、先行研究(Inoue et al. 2009)における定点観察法により、セイヨウオオマルハナバチおよびノサップマルハナバチを含むマルハナバチの分布状況の年変動を把握する。
(2) セイヨウオオマルハナバチおよび近縁種の分子系統解析
DNAデータバンクおよび文献情報 (Estoup et al. 1996; Murray et al. 2008) から、プライマーを設計し、PCR法によりミトコンドリアDNAの特定遺伝子領域の増幅を行う。増幅が認められたDNA断片について現有のオートシークエンサーにより塩基配列情報を解析する。得られたDNA変異に基づいて分子系統解析を行う。
(3) 野外における種間交雑の実態の把握
野外において採集したノサップマルハナバチおよび同地域に侵入したセイヨウオオマルハナバチの越冬女王の受精嚢を摘出し、受精嚢内DNAを抽出する。続いてPCR方によりロドプシン遺伝子領域を増幅し、現有のオートシークエンサーにより塩基配列情報を解析する。
- 関連する研究課題
- 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題