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最終氷期海底下メタンハイドレート層の不安定化と温暖化との関連性解明に関する研究(平成 21年度)
Methane hydrate instability under sea floor and its relationship with abrupt global warning during the last interglacial

予算区分
LA 共同研究
研究課題コード
0810LA001
開始/終了年度
2008~2010年
キーワード(日本語)
メタンハイドレート,メタン酸化細菌,日本海,ジプロプテン,炭素同位体比異常,有孔虫,最終退氷期,急激な気候変動,温暖化
キーワード(英語)
Methane Hydrate, methanotroph , Japan Sea, diploptene, stable carbon isotope aomaly, foraminifera, last deglaciation, abrupt climate change, global warming

研究概要

海底下メタンハイドレートの存在が明らかとなっている日本海において、海底柱状堆積物コアを採取し、有孔虫化石・メタン酸化細菌由来のバイオマーカーの炭素安定同位体比を分析をする。その結果をふまえ、北西太平洋と同様に最終氷期における地球規模での急激な温暖化と海底下に存在するメタンハイドレートの不安定性との関連性を解明する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

過去10万年にわたるグリーンランド氷床コアの解析によると、最終氷期の間に起こった数百年程度規模の突然かつ急激な気温上昇が、大気中メタン濃度の上昇と一致することから、海底下のメタンハイドレートの急激な分解によるものであるとの仮説がある(クラスレートガン仮説)。堆積物コアを用いての過去の気候変動とメタンハイドレート崩壊との因果関係を解明しようとする研究が現在活発に行われつつある。申請者らは、これまで過去に生じた大規模な気候変動とメタンハイドレート崩壊の関連性を明らかにするため、現在海底下に大量にメタンハイドレートが存在していることがわかっている北西部北太平洋で海底柱状堆積物コアを採取し、有孔虫化石・様々なバイオマーカーについて分析を行ってきた。その結果、海底下からのメタン放出によると示唆される浮遊性および底生有孔虫の酸素・炭素同位体比の異常値が見つかった。さらに詳細に有機化学的手法による分析を進めた結果、有孔虫化石の同位体比が異常を示す層準からは、メタン酸化細菌由来のバイオマーカーの炭素安定同位体比の異常も発見された。またこれらの層準について放射性炭素年代測定法により、正確な堆積年代を求めたところ、もっとも大きなメタンシグナルが、最終氷河期の25600年前に起こった温暖期に相当することがわかった。これは、北西部北太平洋において、最終氷期における地球規模での急激な温暖化と海底下に存在するメタンハイドレートの関連性を示唆する世界で初めての発見となった。本成果は、米国物理学連合の雑誌G-Cubedにおいて発表された(Uchida et al., 2004, 2006, Ohkushi et al., 2005)。これらの現象が汎世界的な現象であることを調査す必要がある。本件、二国間共同研究においては、北西太平洋と同様に現在メタンハイドレートの存在が明らかとなっている日本、韓国周辺においても過去に同様なメタンハイドレートの不安定化が起きていたのかどうかの調査を目的としている。これは、最終氷期の温暖期における大気中メタン濃度の上昇が、ローカルな現象ではなく、グローバルな現象であったことを示唆する結果ともいえる。これら過去のメタンハイドレートの崩壊が関わったと考えられる気候変動に関するメカニズムの詳細は、現在のところまだ明らかではない。我々が注目すべき点は、特に、メタンハイドレートの崩壊が地球の気温上昇をもたらし、全球的な温暖化を引き起こすトリガーとして機能したのか、それとも別の原因でまず温暖化し、それに伴う海水循環の変動によりメタンハイドレートの崩壊が起こったのか、今後明らかにしたい。このような過去にメタンハイドレートが、地球大気、果ては地球規模の気候変動との関係についてさらに理解を深める必要がある。また日本、韓国周辺における過去のメタンハイドレート崩壊の正確な記録を時空間的に積み重ねることにより、地球のリズムによる影響を受けやすい地域を把握することが可能となるであろう。また本研究は、人類活動による温暖化影響だけでなく、地球の自然のリズムによる急激な温暖化によっても我々文明は破甚大な影響を受ける可能性があることを示唆するでものである。

今年度の研究概要

昨年度と同様、2006年韓国海洋研究所により日本海Ulleung海盆の水深1500mで採取されたピストンコア(06GHSA P6-1)についてメタン酸化細菌のバイオマーカーであるジプロプテン量とその炭素安定同位体比の分析を継続して行う。日本海における過去のメタンハイドレート崩壊の正確な記録を時空間的に積み重ねることにより、これらのイベントが汎世界的現象なのか、それともローカルな現象なのか把握することが可能となるであろう。

備考

韓国側研究代表者:Sangmin Hyun、韓国海洋研究院 海洋環境リスク評価部門・主任研究員

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動

課題代表者

内田 昌男

  • 環境計測研究センター
    動態化学研究室
  • 主任研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,地学,理学
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