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環境研究基盤技術ラボラトリーにおける活動(平成 20年度)
Activities in Laboratory of Intellectual Fundamentals for Environmental Studies

研究課題コード
0610CP018
開始/終了年度
2006~2010年
キーワード(日本語)
参照研究所,精度管理,環境標準試料,環境試料タイムカプセル,長期保存,環境スペシメンバンキング,絶滅危惧種,遺伝子保存,始原生殖細胞,微細藻類,生物資源情報
キーワード(英語)
REFERENCE LABORATORY, QUALITY CONTROL IN ENVIRONMENTAL MEASUREMENT, ENVIRONMENTAL REFERENCE MATERIAL, TIME CAPSULE FOR ENVIRONMENTAL SAMPLE, LONG-TERM STORAGE, ENVIRONMENTAL SPECIMEN-BANKING, ENDANGERED SPECIES, GENE-BANK, PRIMORDIAL GERM CELL, MICRO ALGAE, BIOLOGICAL RESOURCES INFORMATION

研究概要

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全体計画

第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日)および分野別推進戦略(平成18年3月28日)においては、第2期と同様に、自然科学全般についてだけでなく、環境分野においても知的基盤の整備や標準化の取組等を重点的な項目として挙げられている。
環境標準試料(環境測定精度の管理をする試料)、環境試料の長期保存(過去に遡る環境汚染の検証やバックグランド用)、環境保全に有用な生物資源の保存、そして絶滅危惧生物の細胞組織保存など、基準となる試料(レファランス)に係るソフト及びハードウェア整備は第1期中期目標期間を通して着実に進められてきた。
第2期中期目標期間においては、第1期中期目標期間の成果をふまえて更なる整備の充実・強化を継続するとともに、整備された知的基盤の上に、我が国における環境測定・研究が世界の中で高く評価されるものとなるように、成果を世界に向けて積極的に発信していく。
知的基盤における物質関連のレファレンスは、モニタリングのための分析法開発、精度管理、新たな環境汚染の検証等に必須であるが、環境分野での体制の整備は依然として十分とは云えず、早急に整備することが必要である。生物関連のレファレンスは生物種の同定に用いられるタイプ株やレファレンス株だけでなく、自然生態系から選抜した指標生物の開発なども含まれる。これらのレファレンスの整備は、新たな分析手法や精度管理手法の開発のドライビングフォースとなり、モニタリング精度やデータベースの信頼性の向上につながり、また、生物学的多様性の保全およびその持続的活用を実現するために不可欠な基盤となってくると考えられる。
第2期中期計画における本事業の目的は下記のとおりである。
 1.環境標準試料及び分析用標準物質の作製並びに環境試料の長期保存(スペシメンバンキング)
 2.環境測定等に関する標準機関(レファレンス・ラボラトリー)としての機能の強化
 3.環境保全に有用な環境微生物の探索、収集及び保存、試験用生物等の開発及び飼育・栽培並びに
絶滅の危機に瀕する野生生物種の細胞・遺伝子保存

また、長期保存細胞からの個体復元を目指すなど、各事業から先端研究分野へのブレークスルーを見出す研究も実施する。

今年度の研究概要

1.環境標準試料及び分析用標準物質の作製、並びに環境試料の長期保存(スペシメンバンキング)
化学物質モニタリングの精度管理に資するために、社会的に要請の多い種類の環境標準試料の作製を行う。平成20年度は、前年度に引き続き茶葉中の対象成分含有量の確定を目指すとともに、淡水産藻類を候補として環境標準試料を調整することを目標とする。また、保存試料の安定性試験など品質管理にも継続して取り組む。

環境試料の長期保存については、所内外の長期環境モニタリング事業と連携を図りながら事業の展開を図る。平成20年度は、前年度に引き続きPOPs、PFOS等の化学物質を中心とした試料分析と関連データの収集を継続する。また、国内外の長期環境モニタリング事業、環境試料長期保存事業との連携の一環として、前年度のDioxin 2007の試みを継承して今年8月オーストラリアで開催されるSETAC (Society of Environmental Toxicology and Chemistry)第5回世界会議に特別セッションを設けることが決まり、国際的な研究交流を継続する予定である。

2.環境測定等に関する標準機関(レファレンス・ラボラトリー)としての機能の強化
以下の業務を行うことにより、標準機関(レファレンス・ラボラトリー)としての機能を果たす。

1) 分析精度管理手法の改善を検討するほか、必要に応じてクロスチェック等の実務的分析比較を行う。また、基盤計測機器による所内の依頼分析サービスの質的レベルを引き続き確保するほか、新たな分析手法に関して研究所内の意向調査を行い、必要とされる機器の導入についての検討を行う。

2) 微細藻類の分類学的再検討によって得られたDNA配列データをホームページで公開する。

3.環境保全に有用な環境微生物の探索、収集及び保存、試験用生物等の開発及び飼育・栽培のための基本業務体制の整備、並びに絶滅の危機に瀕する野生生物種の細胞・遺伝子保存
環境微生物については、50株程度の収集、保存株情報の整備、20株程度の保存株の凍結保存への移行を行う。微生物以外の試験用水生生物(メダカ、ミジンコ、ユスリカ等)については、対象生物種の健闘を含め効率的な飼育体制を整備し、外部試験機関等への提供を行う。

また、45種類の絶滅の危機に瀕する野生生物の体細胞、生殖細胞及び遺伝子の凍結保存を行うとともに、これら保存細胞等の活用手法の開発を進める。絶滅の危機にある水生植物(藻類)については、淡水産紅藻保存株の凍結保存への移行を行う。

なお、これらの独自に実施する生物資源の収集・保存・提供業務と並行して、生物資源に係わる情報・分類・保存に関する省際的・国際的協力活動を展開し、国内外の生物資源ネットワーク体制を構築する。

関連する研究課題
  • 0 : 基盤ラボプロジェクト

課題代表者

植弘 崇嗣