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マウスES細胞を用いた次世代影響予測システムの開発研究(平成 20年度)
Development study of the prediction system using mouse ES cells to detect next generation influences

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0608CD461
開始/終了年度
2006~2008年
キーワード(日本語)
影響評価手法,健康影響評価,次世代影響,ゲノムネットワーク,システムバイオロジー
キーワード(英語)
EFFECT EVALUATION METHODS, HEALTH EFFECTS ASSESSMENT, NEXT GENERATION EFFECTS, GENOME NETWORK, SYSTEMS BIOLOGY

研究概要

化学物質をはじめとする環境因子への曝露がヒトを含む生物の健康に及ぼす影響について様々な研究がなされてきた。従来の実験動物を用いた最小影響量を求める手法では、ヒトの健康リスクへの外挿への利用には限界がある。そのため、個体・臓器・細胞レベルにおける影響についての断片的なデータから、生命現象のネットワークに基づいて作用とその影響を予測しうるアルゴリズムを確立し、システム化する試みは、環境汚染物質の基準値を算定する上でも必須であり、これからの課題となっている。そのため、従来の手法から脱却し、多種の化合物に関する生体影響の数値情報を予測できる実用可能なシステムを構築する必要がある。このような背景から、マウス胚性幹細胞(ES細胞)の多機能性を利用して、化学物質曝露による細胞の形態変化と遺伝子などの分子変化との関連付けを数理工学的に解析し、化学物質の曝露量や時間変化による分子間ネットワークの特徴付けを試みる。それにより、毒性反応メカニズムの解明、化学物質の毒性予測、リスク評価への応用に結びつける。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

化学物質の曝露に伴うマウス胚性幹細胞の形態変化を測定し、同時に遺伝子発現を計測してモチーフや生物機能情報などの多元的な情報から、分子間相互作用ネットワークや受容体クロストークの推定を行う。具体的には、代表的な環境化学物質を、核内形態をモニターするためのEGFPを定常的に発現しているマウス胚性幹細胞に曝露させ、その表現型、遺伝子発現を実験データとして蓄積・保存し、これらをデータベース化する。さらに、新たに大量データから特徴のある遺伝子発現パターンやネットワークなどを抽出できるアルゴリズムを開発し、形態変化のイメージングの数値情報からネットワーク情報やクロストーク情報との関連性を解析する。

今年度の研究概要

1.マウスES細胞の神経系及び血管系への分化・増殖のイメージングと遺伝子発現プロファイリング:
 昨年度に引き続き、レチノイン酸が結合する核内受容体RXRやRARに同じく作用すると考えられている化学物質及び有機塩素系農薬をマウスESに暴露し、GFPコンストラクト導入マウスES細胞の分化増殖マーカーの発現を免疫組織学的に測定して、細胞形態、分化と自律増殖を計測する。同時に、分化過程での遺伝子発現ネットワークプロファイリングのため、経時的及び化学物質の用量依存的な培養細胞のサンプリングとRNAの抽出を行い、マイクロアレイもしくは、リアルタイムPCRによる遺伝子発現解析を行う。

2.遺伝子プロファイリングからの遺伝子ネットワーク抽出のためのアルゴリズム開発研究
時系列変化や用量の変化による遺伝子間のネットワークを構築していくアルゴリズムを本年度で確立し、化学物質の影響を類型化する試みを実施する。

課題代表者

曽根 秀子

担当者

  • 今西 哲