ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

微生物rRNAの自然レベル放射性炭素分析に基づく海洋堆積物中炭素サイクルの解明(平成 19年度)
Study on carbon cycle in the marine sediment using microbial rRNA-level radiocarbon analysis

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0608CD559
開始/終了年度
2006~2008年
キーワード(日本語)
放射性炭素,海底堆積物,炭素循環
キーワード(英語)
radiocarbon, marine sediment, carbon cycle

研究概要

これまでの海底下地下微生物圏に関する微生物活動に関する研究手法には、大きく分けて2つの方法がある。(1) RNA/DNAの系統解析、(2) 微生物由来バイオマーカーの炭素安定同位体比による炭素源の解明、である。これら2者のデータの相互比較により、現場の微生物活動に関する定性的、定量的な解析が行われてきた。しかしながら、これらの解析を行うには膨大な時間が掛かることから、海底柱状コアのような数百mにもわたるサンプルの解析には、上記の詳細な分析を行う前に、一次情報なるものが必要である。一次情報にもとづいて詳細な解析へとつなげることが、今後の重要な課題であることは間違いない。そのような理由から、本研究の目的である、堆積物試料からのRNA・DNA分子レベル高精度炭素安定同位体比分析システムの開発が必要とされる。本システムでは、大量のサンプルを必要最小限の前処理だけで、堆積物中のRNA/DNAについて、バルクで分析することにより、現場に生息する微生物の炭素源に関する一次情報を短時間で知ることが可能となる。本研究では、初年度にこのシステムの製作を行い、次年度からは、海洋研究開発機構の船舶により採取された世界各地の堆積物試料(熱水・冷湧水環境などの極限環境も含む)を使って、バルクのRNA/DNAの炭素同位体比の測定を行う。また同じ堆積物試料について平行して、遺伝子による系統解析とバイオマーカーの個別安定同位体比測定を行い、最終的に堆積物より抽出されたバルクのRNA/DNAの炭素同位体比から、未培養の未知微生物の代謝機能の明らかにされてするための知見をえることを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究計画は大きく次の3つから構成される。
1.大容量の自動反復注入式の高分解能液体クロマトグラフシステムと酸化ラインの製作
2.上記システムと高精度安定同位体比質量分析計の接続並びにrRNAの分離・濃縮条件の最適化
3.海洋堆積物からのrRNAの分離・濃縮条件の最適化並びに大量rRNA試料の抽出・濃縮・精製条件の確立
 2006-2007年の期間では、質量分析計において、rRNAの高精度安定炭素同位体比を測定するために、移動相に溶解しているrRNAを酸化の際の同位体分別の影響を小さくすることができるかどうかについて検討を行う。それに先立ち、脂質化合物を用い条件検討を行う。条件検討で使用する脂質は、RNA抽出と同じ海底堆積物を用いる。海底堆積物中の微生物由来脂質分子を用いて、液体クロマトグラフの分離条件の最適化を行う。また上記システムにより測定された安定同位体の正確さをチェックするため、別途、同じ化合物について分取式液体クロマトグラムシステムで分取を行い、その安定同位体比測定を行う。

今年度の研究概要

今年度は、質量分析計において、rRNAの高精度安定炭素同位体比を測定するために、移動相に溶解しているrRNAを酸化の際の同位体分別の影響を小さくすることができるかどうかについて検討を行う。それに先立ち、脂質化合物を用い条件検討を行う。条件検討で使用する脂質は、RNA抽出と同じ海底堆積物を用いる。海底堆積物中の微生物由来脂質分子を用いて、液体クロマトグラフの分離条件の最適化を行う。また上記システムにより測定された安定同位体の正確さをチェックするため、別途、同じ化合物について分取式液体クロマトグラムシステムで分取を行い、その安定同位体比測定を行う。

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動(化学環境研究領域)

課題代表者

内田 昌男

  • 地球システム領域
    動態化学研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,地学,理学
portrait