ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

国立環境研究所特別研究報告 SR-45-2002 (平成14年9月発行)
「環境低負荷型・資源循環型の水環境改善システムに関する調査研究」(平成12~13年度)

 本報告書は,平成12年度から13年度にかけて実施したミレニアムプロジェクト「環境低負荷型・資源循環型の水環境改善システムに関する調査研究」の研究成果をとりまとめたものである。その実施目標は,地域における水循環・物質循環の適正化及び循環型社会形成のための静脈産業育成の視点から,技術面に関する基礎的データの収集・整備,産業技術面での課題等について調査研究を行い,今後の実現可能な具体的政策方向を明らかにすることにある。すなわち本調査・研究は循環型経済社会において水環境改善システムを確立するために,代表的な富栄養化湖沼であり水道水源である霞ヶ浦をモデル流域として具体的な地域環境データを用いて,環境低負荷型・資源循環型施策の導入効果予測と投資効率の評価解析を行ったものである。この調査研究により,整備手法の選定,地域整備順位の決定,環境低負荷型の水処理・浄化技術の開発等,政策決定の具体的な選択について重要な示唆を得ることができた。

(循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 稲森悠平)

国立環境研究所特別研究報告(内分泌撹乱化学物質総合対策研究)SR-46-2002(平成14年9月発行)
「環境ホルモンの新たな計測手法の開発と環境動態に関する研究」(平成11~13年度)

 本報告書は平成11年度から13年度の3年間にわたり内分泌攪乱化学物質総合対策研究で実施された6課題のうちの1課題,「内分泌かく乱化学物質の新たな計測手法と環境動態に関する研究」の成果に最近の研究結果を加えて取りまとめたものである。計測法の開発では,イオントラップ質量分析法,負イオン化学イオン化法,液体クロマトグラフ質量分析法や免疫化学的測定法を導入し,超微量成分を精度よくしかも簡単に測定できる手法を開発した。評価法の開発では,試験管内の評価系としてホルモンの受容体と化学物質との結合性をみる試験法,様々なホルモン受容体の遺伝子を導入した酵母を用いて短時間に化学物質のホルモン作用を調べる試験法,動物を使った試験としてホルモンの攪乱によってメダカに発現する遺伝子やタンパクから影響を評価する試験系が作られた。また,エストロゲン作用を中心に環境媒体のホルモン作用の評価手法として,これら新たに開発した試験法の適用を試み,ホルモン作用の環境挙動について調査した結果が示されている。

(化学物質環境リスク研究センター 白石寛明)

国立環境研究所特別研究報告(特別研究)SR-47-2002(平成14年9月発行)
「空中浮遊微粒子(PM2.5)の心肺循環器系に及ぼす障害作用機序の解明に関する実験的研究」(平成11~13年度)

 本報告書は平成11年度から13年度にかけて実施した特別研究「空中浮遊微粒子(PM2.5)の心肺循環器系に及ぼす障害作用機序の解明に関する実験的研究」をとりまとめたものである。近年,トラック,バスからレクレーション用の車までディーゼルエンジンを搭載する車が増加している。この増加と共に,大都市部の大気汚染は改善されておらず,浮遊粒子状物質(SPM)の中に占めるディーゼル車由来の微粒子(DEP)の割合が増加している。一方,粒径が2.5μm以下のSPM,すなわちPM2.5と心疾患による死亡率との間に非常に高い相関があることが疫学研究によって示され,その健康影響の重大性が指摘されている。そこで,本報告では,大都市部のPM2.5の主要部分を占めるDEPを対象物質として,ディーゼル排気の暴露実験と組織培養を含む実験によって,DEPがどのような機序で心肺循環器系に障害を及ぼしているかを明らかにすることを目的とした。これにより,大都市部におけるPM2.5(DEP)汚染を低減することの緊急性と重要性に関する科学的知見を示し,環境保全のための科学的資料を提供している。

(PM2.5・DEP研究プロジェクト 鈴木 明)