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ごみ発電は得か損か

研究ノート

森 保文

 ごみ発電とはごみ焼却場に発電施設を付けて,ごみを燃やした熱で発電するもので,最近,導入されることが多くなってきている。ごみ発電は,焼却のみでは無駄に捨てられるエネルギーを回収し,一般の発電所の発電量の一部を肩代わりするので,結果的に地球温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)をも削減する。

 一見よいことのようであるが,ごみ発電のためには発電機などを追加して設置しなければならない。当然これらの施設の製造や管理にエネルギーが消費され,CO2も排出される。またごみ焼却場そのものの建設や運用にもエネルギーが投入されている。

 はたして,ごみ発電は本当にエネルギー消費量とCO2排出量を削減しているのだろうか。これを確かめるには,ごみ発電に関するエネルギー消費量およびCO2排出量について,発電によって削減される量と焼却場および発電施設の建設と運用により消費・排出される量を比較しなければならない。このようなことをライフサイクル・アセスメント(本号別記事参照)という。

 実際に日本で稼働しているのと同規模のごみ焼却場を一つ想定して,エネルギーとCO2収支の分析を行ったところ,以下のことが明らかになった。ごみ焼却場を建設し,ごみを収集し,発電することは,図に示すようにトータルとして生産するエネルギーが消費よりも多く,またCO2排出量も削減している。今後改良すべき点としては,焼却場内で消費される電力を少なくすることと,焼却場を改築する際に建屋を解体せずに再利用することがあげられた。なおこの焼却場による発電量はおよそ一万軒分の消費電力に相当する。ごみ発電が普及しない最大の原因は発電コストである。想定したごみ焼却場では,発電した電気がキロワット当たり約10円で売れてようやく発電施設をまかなえる。電力会社が自社以外から電気を買う値段はたいてい5円から15円であるが,通常ごみ発電による電気は5円程度でしか売れないのである。もう少し高く売れてもよいように思うが,発電出力が安定しないとの理由で安く抑えられている。この点については技術的改良が続けられている。コストを下げるには建設費を減らすと共に発電効率を上げることが必要であり,ガスタービンと組み合わせてその廃熱を利用することなどが試みられている。現在,ライフサイクル・アセスメントをこれら発電効率を上げる方法についても行い,その効果や改良点を検討中である。また,ごみ処理の他の方法,例えばリサイクルとの比較などが今後の課題である。

(もり やすふみ,社会環境システム部資源管理研究室)

執筆者プロフィール:

筑波大学農林学類卒業,農学博士。水質管理,環境指標,市民参加などテーマは多様。1年前より卓球を始めたところ,予想外に力のいる競技に少しはまっている。