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平成5年度国立環境研究所予算案の概要について

柳橋 泰生

 国立環境研究所の平成5年度予算案は、約65億円が計上され、前年度当初予算額約60億円に対して約5億円増額し、8.5%の伸びを示した。予算案では、地球環境分野等における国際貢献のための新規経費が計上される等盛りだくさんな内容となっている。以下に主要点について紹介する。

  1. 平成4年度、9課題の特別研究が実施されているが、2課題が平成4年度で終了し、平成5年度新たに次の2課題の研究を開始する。
    • 環境負荷の構造変化から見た都市の大気と水質問題の把握とその対応策に関する研究
    • ディーゼル排気による慢性呼吸器疾患発症機序の解明とリスク評価に関する研究
  2. 開発途上国における適正な環境保全・対策技術の開発・普及のため、「開発途上国環境技術共同研究費」が新たに計上され、開発途上国との共同研究を開始する。平成5年度は、フィージビリティ・スタディを行う。
  3. 環境研修センターにおいて、「地球環境研修強化費」が新たに計上され、地球環境問題に係る環境調査、防止技術等に関する研修及び地方公共団体において海外から研修員を受け入れる際のプログラム作り、実施のノウハウ等に関する研修を実施する。
  4. 地球環境研究センターにおいて、地球環境データベースの充実を図るとともに、国連環境計画(UNEP)の地球資源情報データベース(GRID)事業の協力センター(GRID-つくばセンター)として、GRID事業を推進するため、社会経済オリジナルデータの作成等の新規事業を展開する。
  5. また、地球環境モニタリング事業として、オゾン層、温室効果ガス等の観測を継続するとともに、国連環境計画(UNEP)の地球環境モニタリングシステム(GEMS)/水環境プロジェクト(WATER)への協力のための事業を新たに実施する。

  6. 環境遺伝子工学実験棟が平成5年6月竣工予定で現在建設作業が進められており、施設の竣工後の実験の実施に必要な初度備品類を整備し、維持運営を行うための経費が計上された。同施設では、(1)環境汚染を浄化する生物の開発研究、(2)環境指標生物の開発研究、(3)遺伝子組換え生物の環境への影響に関する研究等を実施することとしている。
  7. 環境庁企画調整局が一括計上している国立機関公害防止等試験研究費の中に新たに設けられた地域密着型環境研究として、科学技術庁防災科学技術研究所及び山形県公害センターとの共同研究を新たに実施する。
  8. 国立環境研究所は、筑波研究学園都市の研究施設としては比較的早期に建設され、施設等の老朽化が著しいため、施設・設備の更新等の一層の推進を図る。

(やなぎばし やすお、研究企画官)