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政策対応型調査・研究 化学物質環境リスク

環境毒性と生態影響を予測する

環境生物の毒性試験には大変な費用と時間がかります。また、生物への影響が定量的に明らかになっている化学物質はそれほど多くなく、用いられる生物も限られています。そこで既往の論文などから信頼性の高い生態毒性試験結果を収集し、データベース化を進めています。また試験データがない場合にはいろいろな生物種や化学物質に対する毒性評価をコンピューター上で予測することができるように、構造活性相関(QSAR)の開発を行っています(グラフ:1)。

さらに、生物種別の毒性試験から個体群や生態系に及ぼす化学物質の影響を評価するための生態系数理モデルを作成し、個別の毒性試験結果と生態リスクのエンドポイントとの関係を定量化しようとしています。また、地域性を考慮するため、生態学的な地域特性を地理情報システム上にデータベース化し、化学物質の環境挙動モデルとの連携を目指しています。

(グラフ:1)魚類急性毒性のニューラルネットワークを用いたQSARによる予測と実測との比較例
(グラフ:1)魚類急性毒性のニューラルネットワークを用いたQSARによる予測と実測との比較例

生物を用い環境リスクを調べる

環境中の多様な化学物質を1つ1つ分析するのは、大変なコストがかかります。また、多数の化学物質に同時に曝露されたときの影響はわかっていません。当研究所では、実験動物や培養細胞などを用いて、環境リスクを包括的に把握するバイオアッセイ手法(生物学的検定法)を開発しています。例えば、健康影響をみる方法としては、遺伝子マウスを用いて環境中に存在する化学物質の影響の把握を試みています。また、ゼブラフィッシュを用いて変異原物質を検出する方法を開発しています。また、実験動物で得られたデータから化学物質の人への影響を予測する手法の研究も進めています。

写真:DNAシークエンサーによる遺伝子解析
DNAシークエンサーによる遺伝子解析

写真:変異原物質が検出できるように遺伝子操作されたゼブラフィッシュ
変異原物質が検出できるように遺伝子操作されたゼブラフィッシュ

化学物質の政策に直接貢献する

化学物質の環境リスクの管理に向けて政策を検討するためには、化学物質の性質、環境中の挙動、人や生物に対する影響など、幅広い分野にわたる科学的な知見が必要です。当センターでは、このような政策判断に直結する調査研究を進めるとともに、環境政策を検討する場面に専門家として参画していくことなどを通じて、環境リスクを適切に管理するための政策の実現に直接貢献しています。これまで述べたようなリスク評価手法の高精度化のための研究を行うだけでなく、社会に広く流通している化学物質の環境リスク評価を進めており、その結論に基づきリスクの管理に向けたより詳細な評価の必要性について提言しています。そのような検討を通じて、環境基準などの検討の場面に必要となる科学的知見の提供も行っています。平成16年4月に改正化学物質審査規制法が施行され、新規化学物質の事前審査に初めて生物に対する影響評価が加わりました。当センターではこの法律の審査やリスク評価に必要となる試験法の確率、審査方法の高精度化の検討を行っているほか、化学物質の審査の場面にも広く参画し、専門的知見を提供しています。さらに、OECDにおけるリスク評価や試験法などに関する国際的な検討の場面にも、所内外の協力を得て政策と研究の両面に通じた専門家を幅広く派遣し、わが国を代表して国際的な貢献を行っています。


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