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個別分野 熱帯林の減少

伐採による森林構造や野生生物への影響

マレーシアの熱帯雨林で1950年代に択伐を受けた二次林と過去に伐採を受けていない天然林の林冠高(森林の高さ)を比較したところ平均値では明瞭な差はないものの、林冠高の頻度分布には大きな違いが見られました(下グラフ)。

グラフ:林冠高の頻度分布

二次林では択伐によって大きな木が伐採されているため林冠の高さが揃っているのに対して、天然林では50m以上の高さを持つ大径木が多く、空間的な不均質性が高いことがわかりました。一方で天然林では林冠高の低い場所もたくさん見つかりました。この林冠高が低い場所の多くは老齢化した大径木が大風などにより倒壊して生じた林冠の空隙(ギャップ)で、そこでは日光がたくさん降り注ぐため樹木の稚樹が素早く成長します。このように天然林では老齢木と若齢木の世代交代が自然なリズムで営まれていることがわかりました。

しかし伐採(択伐)によりこうした森林の構造が崩れると、林冠部や老齢木を住みかとする樹上性の中小型ほ乳類(リスなど)、キツツキなどの鳥類、昆虫やキノコ等の組成や種多様性に違いが出ることがかりました。択伐では森林が完全に消失することはないので適度な伐採頻度や管理を行えば、森の現存量を一定に保つことは可能です。ところが伐採後40年を経っても森林の構造は崩壊したままで、それぞれの生き物が住む空間に影響が出ていることがわかりました。そのため動物の豊富さや生き物の相互間の関係は数十年程度では完全には復活しないと考えられます。

環境管理計画の試み

こうした定性的な機能の変化だけでは、森林全体の機能が時間的にどのように変化したのか、農地などの土地利用形態と比較した際に、どの程度の損失やメリットがあるのかを的確に評価できません。そこで、森林の機能を経済的な価値として評価するための研究を行っています。さらに森林を含む地域全体の環境管理計画のモデルプランを策定するためのGIS(地理情報システム)整備や土地管理利用プログラムの作成などを行っています。


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