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個別分野 健康及び生態系への影響

研究概要(パンフレットから)

人間活動によって環境に放出された環境汚染物質は、大気・水・土壌・生物などの環境媒体に蓄積され、食物連鎖を介して人の体内に入ってきます。また、人間が持ち込んだ外来種が従来の生態系を攪乱しています。国立環境研究所では、様々な環境有害因子が人の健康及び生態系に及ぼす影響やそのメカニズムを明らかにするための研究を進めています。

健康への影響

化学物質の摂取と曝露

ディーゼル排気などの大気汚染物質、カドミウムや水銀などの重金属類、あるいはダイオキシン類や環境ホルモンと呼ばれる化学物質など多くの物質が人の健康に影響を及ぼしていると考えられています。また、電磁場や紫外線などの物理的因子が影響を及ぼす場合もあります。これらの環境有害因子にわれわれが曝露された場合に、どのような影響がどの程度でおこるかを評価するための研究を行っています。

現象の解明

これまでの研究の結果、大気中の粒子状物質などが環境基準に比較的近い濃度であっても、実験動物へ影響を及ぼすことを見いだしました。また、人が日常的に体内に取り込む程度の低い量の有害化学物質を、妊娠動物に与えて次世代に及ぼす影響を明らかにする実験や、遺伝子工学技術により作製した疾患モデル動物を用いて有害化学物質の作用機構を解明する実験も行っています。

一方、重要な生体防御機構である免疫機能も化学物質の作用により変調をきたすことがあり、これが破綻すると疾病の原因となります。この観点から化学物質の曝露とアレルギー疾患との関係も研究しています。

さらに、中国における都市大気汚染の健康影響に関するなど、国内外における疫学調査研究に取り組んでいます。環境と健康リスクに関する研究は行政判断及び施策の基礎となる科学的知見を与えるものであり、迅速な対応が求められています。

生態系への影響

湿地生態系

湿地生態系としての価値が認知されてきたのはごく最近のことです。国立環境研究所では米国・オランダ・ロシア・中国の研究者とネットワークを形成して、湿地生態系を地球スケールで比較し、その機能を共通の尺度で評価することを目標に、国際共同研究を実施しています。その結果、湿地における底質の有機炭素と無機炭素の含有量から湿地のタイプ分けが可能であることが分かってきました。

また、水流の少ない湿地では、土壌中の無機物含有量が多いほど分解速度が高いことが分ってきました。これは湿地の物質循環の速度が土壌の無機物含有量で評価できることを示唆しています。

池や湖における食物連鎖

十和田湖では、透明度の低下や富栄養化が懸念されていますが、ワカサギの侵入により、動物プランクトンの餌となっている植物プランクトンの量が増えたことが原因であることがわかりました。また、近年、その放流が問題になっているブラックバスやブルーギルといった外来魚については、多くの「ため池」の生物相を調べることにより、その直接の餌となる生物への影響だけでなく、食物連鎖の間接影響がユスリカやイトミミズなどに及んでいることがわかってきました。

霞ヶ浦における生態系攪乱

霞ヶ浦は近年生物相の激しい変化が起きています。湖岸植生帯、特に沈水植物は壊滅的に減少し、底性生物、二枚貝類、巻貝類、ユスリカ幼虫等は1990年代に入り著しい減少を続けています。このような底性生物の激減は諏訪湖、琵琶湖でも起きていますが、この原因は明らかになっていません。

霞ヶ浦ではオオクチバス、ブルーギル、ペヘレイ等の外来魚が激増し、漁業生産を低下させています。これら外来魚は従来日本には見られなかった強魚食性魚類であり、湖内生態系構造を激変させてしまいました。このような生物相の激しい変化は水質にまで影響を与えており、緊急な対策を必要としています。

グラフ:霞ヶ浦の湖心部で採集されたドブガイ稚貝数
霞ヶ浦の湖心部で採集されたドブガイ稚貝数の経年的な減少、消滅(毎月1回、網(巾;1m, 網高0.3m)で、湖底の表層を120m 引いた)。写真は1983年3月霞ヶ浦湖岸で採取している様子。

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