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重点特別研究プロジェクト(平成13年度〜平成17年度) 流域圏の環境管理

研究概要(パンフレットから)

東アジア地域での数千年にわたる水田稲作を基礎とする農業・社会活動は、ごく最近まで、地域の自然環境と調和したものでした。 しかしながら、近年の急激な人口増加に伴う大規模な農業開発、急速な工業化と一極集中化する大規模都市化などにより、自然環境と人間活動との均衡が崩れつつあります。 この解決に当たって、当研究所では、人間活動を支える環境の基本ユニットである『流域圏(山〜河川〜海)』が持つ受容力に注目しています。 この東アジアの流域圏の受容力の把握のため、科学的な観測・モニタリングを水資源(水循環)とそれを支える生態系機能の観点から実施しています。 さらに、水循環と生態系機能という相互依存性の極めて高いシステムを数理モデルで表現することにより、環境受容力の脆弱な地域を予測し、環境負荷の軽減、環境保全計画の策定、開発計画の見直し、環境修復技術の適用等の環境管理を行なおうとしています。

衛星データを利用したアジア・太平洋地域の総合的モニタリング

アジア・太平洋地域における均衡ある経済発展にとって、開発に伴う森林減少、砂漠化、土壌流出、水資源枯渇等が大きな制約要因となりつつあります。このような自然資源の枯渇・劣化に対策を講ずる上で、その現況と変化の科学的な把握が不可欠です。このため、国立環境研究所と中国科学院地理科学与資源研究所を中核として、シンガポール、オーストラリアの4カ国の研究機関はMODIS衛星を用いた統合環境モニタリング体制を開始させ、アジア-太平洋全地域をカバーする4つのTerra-MODIS衛星データ受信ステーション、5つの地上モニタリングステーション及び2つのデータ解析センターより構成される環境モニタリングネットワークを作り上げました。具体的なモニタリングの対象は、陸域における土地被覆状態・土壌浸食・水循環・自然災害・農業生産量等です。得られたMODISデータを検証するため、中国国内における様々な陸域生態系から代表的な草地、灌漑農地、水田、森林、砂漠化地域の5つの植物生態系に観測サイトを設置し、気象、水文、土壌水分、植生等に関する基礎データを収集しています(図:1)。

(図:1)アジア太平洋地域の生態系機能評価体制
(図:1)アジア太平洋地域の生態系機能評価体制

ところで、衛星データは地理情報システムGIS上で他の環境情報と統合化されることで環境の変化がより鮮明に認識されるとともに、環境変化への対策も可能となります。例えば、近年、洞庭湖では長江本流と支流からの土砂流入によって湖底が上昇し、湖面が急速に縮小し、その洪水貯留機能が低下し、長江の中・下流域に洪水を頻発させ、中国における大きな環境劣化の問題となっています。単に衛星画像で湖の縮小化を見るだけでは、洪水対策、周辺地域の農業活動の維持を考える上では不十分です。そのため衛星データと土地の数値標高データを用いて、洞庭湖の貯水位および貯水容量を推定する手法を開発し、洞庭湖と長江との水のやり取りを考慮した降雨水文モデルと組み合わせることで、洞庭湖の定量化された遊水機能を常に取り込んだ現実的な洪水防御対策が可能となりました(図:2)。

(図:2)水体の面積・容積変化の観測
(図:2)MODISによる洞庭湖の貯水体積の変化

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