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2016年2月15日

第3弾:アジアにおける「生物多様性と生態系」と「環境モニタリング」

NIES国際フォーラムレポート

AITのキャンパスは広大です。キャンパス中央にある大きな噴水。周辺には蓮が植えられています。木の種類もなんだか南国の雰囲気です。(撮影:杦本友里)

開催2日目。今回のフォーラム期間中は普段のタイの気候からすると、とても寒かったのですが、ようやく暖かくなってきました。
この日は、「生物多様性と生態系サービス」、そして「環境モニタリング」がトピックです。

生物多様性と生態系サービス

キーノートスピーカー:Jitendra Vir Sharma博士, Indian Forest Service and Senior Fellow, The Energy and Resources Institute(撮影:成田正司)

講演者紹介

  • 片山 浩之 氏 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 准教授
  • 竹内やよい 氏 国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター 研究員
  • Geetha Mohan 氏 東京大学 サステイナビリティ学連携研究機構 准教授
  • Nophea Sasaki 氏 Asian Institute of Technology, School of Environment, Resources and Development, Associate Professor(アジア工科大学院、環境・資源・開発学部、准教授(仮訳))

内容の簡単なまとめ

アジアは多くの熱帯林を有するなど、生物多様性に富んだ地域ですが、森林伐採などによりその多様性は急速に失われつつあります。そのため、生態系サービスおよび生物多様性の現状分析やその維持のための研究活動は欠かせません。今回は、REDD+(途上国で行われる森林保全に対して国際社会から経済的インセンティブが与えられる仕組み)や、コミュニティフォレスト(≒地域住民に管理される森林区域)についての議論などがなされました。森林を誰がどう管理していくのかということが明確にすることが求められると同時に、REDD+を実装するための経済的・技術的支援、国際交渉、伝統的な管理システムと現代的な管理システムの統合など、様々な対策が挙げられました。

環境モニタリング

キーノートスピーカー:Peter King博士 地球環境戦略研究機関(IGES)シニアポリシーアドバイザー(撮影:成田正司)

講演者紹介

  • 三枝 信子 氏 国立環境研究所 地球環境研究センター 副センター長
  • Supat Wangwongwatana氏 Asian Institute of Technology, Regional Resource Centre for Asia and the Pacific, Senior Programme Specialist (アジア工科大学院 アジア太平洋地域資源センター シニアプログラムスペシャリスト(仮訳))
  • Lal Samarakoon氏 Asian Institute of Technology, GeoInformatics Centre, Director (アジア工科大学院 地理情報センター ディレクター(仮訳))

内容の簡単なまとめ

環境モニタリングは、環境に関する情報を収集することによって、データに基づいて判断することに貢献できますが、特に政策立案や行動計画の立案に貢献することが期待されます。今回は様々なスケールでのモニタリング事例が紹介されました。例えば地域に密着したモニタリングでは、コストをかけずに各環境課題に関するデータを収集することが可能であり、地域拠点や宇宙からの大気観測などでは広域的あるいは全球的なスケールでのデータ収集が可能です。今後の課題は、複数のプラットフォームにおける同時観測とそのためのネットワークの構築や、具体的な政策立案のためにデータ活用すること、データ共有のための学際的なインターフェイスをつくることなどが挙げられました。

ポスターセッション

講演プログラムの他に、ポスターセッションも行われました。
国立環境研究所からは以下の4名が出展しました。(50音順)

  • 磯部 友彦 氏 環境健康研究センター 主任研究員
    Exposure to Organophosphorus Flame Retardants (PFRs) through Human Breast Milk Feeding
  • 岡寺 智大 氏 地域環境研究センター 主任研究員
    Researches for sustainability of Thailand from the perspective of water-energy nexus
  • 小山 陽介 氏 環境リスク研究センター 研究員
    Risk Management of Chemical Substances in Disaster: Phased Criteria Concept
  • 高澤 嘉一 氏 環境計測研究センター 主任研究員
    Nationwide investigation of perfluorinated alkyl substances in Japan by using bivalve and dragonfly as bioindicators
ポスターセッションの様子の一部(撮影:成田正司)

次号で、プログラム終盤のパネルディスカッションなどについて報告します。

つづく・・・
(文責:杦本友里・藤井実 (社会環境システム研究センター))
(写真:成田正司(企画部広報室)・杦本友里)