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このように、フェリーを利用して一定海域を長期間にわたり高頻度に観測することにより、それぞれの海域で起こっている生物・化学・物理的な過程と、それに対する人為影響が把握できるので、この方法は優れた方法といえます。国外でも、このことが認識され、EUでは2001年から「欧州フェリーボックス計画」として、ヨーロッパの各沿岸海域・縁辺海域でフェリーを使ったモニタリングが始められました14), 15), 16)。また、北太平洋海洋科学機構(PICES)でも、定期航路を利用したモニタリング計画が検討されています17), 18)。
今後、海洋環境問題においても、東アジア海域を含め縁辺海域が重要な海域になることは明らかです。国連海洋法(UNCLOS)では、200カイリ以内の海域を排他的経済水域とし、ここでの海洋観測は当事国の了解が必要となります。また海洋環境問題は基本的に国際間の問題なので、沿岸国の協力が不可欠であり、国際的な協調関係の形成が前提となります。アジア海域では、未だに2国間の境界について双方の同意が成立していない海域もあり、これは容易なことではありません。
国立環境研究所は韓国海洋研究所(KORDI)と日韓環境保護協定によって相互協力を行っていましたが、KORDIではこれに基づいて1998年から仁川−済州間のフェリーを使った海洋モニタリングを始めました。このような事業をアジアの各海域で開始し、「アジア版フェリーボックス計画」のようなネットワークを形成してゆくことが今後大きな課題となるといってよいでしょう。
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