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サンゴ礁の営み

  サンゴ礁は「海の熱帯雨林」といわれるように、多様な生
物がたがいに密接にかかわりあいながら棲息する場所となっ
ています。サンゴ礁は非常に多様な役割をもっているのです
が、残念なことに、1980年代のオニヒトデによる食害や、土
砂流入、異常高水温によるサンゴの白化現象などでサンゴ礁
が劣化したことも多いのです。一方八重山諸島ではオニヒト
デのために壊滅的状況にあったサンゴが、90年代に入ってか
ら回復してきました。このように、環境が整いさえすれば、
裸地だった海底にサンゴの幼生が漂着・成長し、数年あるい
はそれ以上かかってもサンゴ礁は復活するといえましょう。
  サンゴの種類は多いのですが、ここでは骨格が礁を形成す
るサンゴ(造礁サンゴ)に話を限ります。サンゴは一見樹木
の ようですが、実は小さなイソギンチャクのような個々の
動物(ポリプ)が集まって群体(コロニー)を形成している
のです。サンゴは体内に褐虫藻という微生物を共生させてい
ますが、これが実は植物の働きをしています。すなわち、褐
虫藻はサンゴが出す老廃物を肥料にし、太陽光をエネルギー
源として光合成をし、この結果作られた有機物をサンゴに戻
しています。このような協力関係を「共生」とよびます。
 光合成の効率をあげるため、サンゴ同士の光を求めての競
合で勝ち抜くため、また水流や波の衝撃に耐えるために、サ
ンゴは樹木と同じような樹枝状構造になったのでしょう。ま
た、光合成のためには、海水が澄んでいて太陽光をよく通す
必要があり、その反面、海水中のリンや窒素のような肥料に
なる物質(栄養塩)はサンゴから補給されるので、海水中に
は少なくてもよいのです(貧栄養状態)。リンや窒素が多い
と(富栄養状態)、かえって海水中の植物プランクトンが増
えて海中に届く光を減らしてしまい、褐虫藻にとって、つま
りはサンゴにとって不利になります。
 熱帯の海では一般的に深いところから栄養塩が上がってく
ることが少ないので、基本的に貧栄養状態で、通常の植物に
は過酷な環境といえます。サンゴと褐虫藻はこのような環境
をうまく利用したといえるでしょう。