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判読例2.サンゴの白化

 サンゴの体内de
は、ゾーザンテラという種類の微細藻類が
共生して光合成を行い、できた栄養分をサンゴに供給してい
ます。造礁サンゴの褐色は、実はこの共生藻類の色なのです。
サンゴが何らかのストレスを受けると共生藻類を放出し、そ
の結果真っ白に変わってしまうことがあり、「白化現象」と
呼ばれます。
 下図は、1998年7月3日のアナドマリ測線(K2)の、始点から
25mの位置の画像です。健康なテーブル状ミドリイシが海底を
覆っており共生藻類のため褐色に見えます。
                           
 

 その夏、海水面の温度が異常に上がりました。特にアナドマリ
測線のあたりはリーフの内側にあるため昇温が顕著でした。海水
は通常、上層のほうが太陽光でよく暖められて下層より軽くなる
ため、成層しております。ただし、例年は台風がやってきて適度
に上下混合を引き起こすため、上層の温度も極端には上がりませ
ん。
 ところが、1998年の夏には台風がほとんど来なかったため
海水は鉛直混合せず、このため上層だけ異常に昇温したのだと
考えられます。
 その結果起こったことが下図のような「サンゴの白化」で、
共生藻類が抜けたために白くなったサンゴ群体が累々と広がって
います(9月12日、(財)海中公園センター八重山研究所の野村恵一
さんが特別に現場に行って撮影してくたもの画像)。


        
 白化した群体のうちのかなりの部分が、共生藻類の恩恵をうけら
れなくなったため斃死しました。ただし、K1測線ではこれほど顕著
な白化は起こりませんでした。そちらのほうが海水の交流がよいの
で、K2測線ほどには海水の昇温が起らなかったのでしょう。
 また、下の画像は翌年の1999年7月に撮影されたものです。上記
のような真っ白な状態はそれほど長くは続きません。白化でサンゴ
が弱って斃死すると、1〜2ヶ月後にはその表面に別の藻類が付着
して薄褐色に見えるようになります。またこの画像からは、大規模
白化といってもすべてのサンゴ群体が斃死したわけではなく、生き
残ったもの(コドラート右手向こう側隅の比較的濃い褐色のもの)
がいることもわかります。


        

  異常高温を生き抜いたサンゴのうち、今度は1999年12月の寒波で
凍死したものが出てきました。この時には大潮干潮時にサンゴが露出
したため被害が大きくなったようです。
 下図はその寒波の半年後、2000年7月のものです。コドラート右上
のクシハダミドリイシの外縁部のポリプは生き残り、中央部のポリプ
が死んだようです。

        
      
 
 さらに2000年1月の画像も開いてみると1999〜2000年の間のサン
ゴ群体ごとの生死がよくわかるでしょう。
 この他、人工衛星の画像で白化が調べられないかとも考えました
が、白化の広がりがせいぜい数十メートル、衛星画像(例えば
LandsatのTM画像)の1画素の大きさもその程度で、空間分解能
の点で十分ではありません。また衛星が白化期間の、しかも晴天時
に上空を通る確率も決して高いものではありません。前述のように
白化期間が過ぎると、生きているサンゴと死んでいるサンゴがとも
に褐色に見えるため、衛星画像からは判断できないのです。 
 このような理由から、白化の前・最中・後の変化について記述し
たデータは意外に少なく、このサイトの画像は貴重な資料となって
おります。