対策技術や手法の開発


 
 ・ビスフェノールAの植物による分解
  ・微生物を用いた内分泌かく乱物質の分解
  ・土壌中ダイオキシンの熱水抽出処理
  ・カリウム−ナトリウム合金によるPCB等の脱塩素化分解
  ・超音波による水中溶存ダイオキシン類の分解



    ビスフェノールAの植物による分解


ビスフェノールA(BPA)はポリカーボネート樹脂の原料で、樹脂が土壌中で分解してBPAを放出する可能性が高い。どのような植物がBPAを吸収するか調べた結果、ホテイアオイ、キャベツ、ササゲが良く吸収することがわかった。また、BPAを吸収した植物の中には糖の一種であるグルコースをBPAに結合させて、女性ホルモン作用が少ない形に変化させているものがあることもわかった。 
なお、夏期の霞ヶ浦の調査において、BPAが急速に消失すること、その原因としてBPAが藻類に取り込まれ、代謝されることも明らかとなってきた。


  
色々な植物による ビフェニールA のとりこみ  (1個体1時間あたりのBPA吸収量)   μg/1個体/h


  植物によりBPAを吸収しやすいもの(ホテイアオイ、キャベツ、ササゲ等)としがたいもの(ニンジン、イネ、ゴマ等)があった。

 


   微生物を用いた内分泌かく乱物質の分解


○ フタル酸エステル類を分解(無害化)する細菌を土壌より分離

分類学的にMycobacterium sp.(図1)と同定されたフタル酸エステル分解菌は現在日本国内で環境ホルモンと認定されている総てのフタル酸エステルを分解することが出来る。この菌体は使用量が最も多いフタル酸エチルヘキシルを好んで分解することが最近の研究で明らかになった。現在この菌体の有効利用方法を検討しているところだが、試験的に行った研究結果から、塩化ビニールシートに柔軟性を与えるため加えられているフタル酸エチルヘキシルを効率良く分解除去することが出来そうだ。これによって、塩化ビニール製の乳児用の玩具や、医療用器具等の無害化処理を行うことによって、直接人体への危険や、環境への負荷の低減を行うことが期待出来る

○ ダイオキシン等の分解微生物

一般的に利用されている有機溶媒、1,4-ジオキサンを分解するカビ(図2)を分離しており、これが高塩素化のダイオキシンを分解されやすいカテコール類まで分解することを確認しています。


    
      図 1                   図 2


    
土壌中ダイオキシンの熱水抽出処理

この研究では、内分泌かく乱化学物質などの有害化学物質によって汚染された環境を浄化する技術の一つとして、熱水を用いる方法について検討しました。検討したのは、水熱反応を利用したもので、高温・高圧の水を汚染された土壌に通じることによって汚染物質を除去しようというものです。この方法では、超臨界水酸化法ほどの高エネルギー条件を必要とせず、消費エネルギーやコスト面で有利です。

研究の結果、水だけで汚染土壌からダイオキシン類を除去できることが確認できました。温度は、除去率を左右する最も重要な因子であり、温度に比例して除去率が上がることが分かりました。350℃では99%以上の除去率を達成できましたが、150℃においても約50%のダイオキシン類の除去が確認できました。また、抽出液と抽出残さの分析から、土壌中のダイオキシン類は、熱水によって単に抽出されるのではなく、分解してしまうことが確認されました。OCDDの添加試験より、脱塩素反応が、その主経路の一つであると考えられました。

付加的な処理や添加剤などを必要とせず、水だけでダイオキシン類などの汚染物質を除去できるこの手法は、画期的で環境にやさしい処理技術といえるでしょう。

   温度による抽出前後の土壌及び抽出液中ダイオキシン類
   相対濃度の変化



     実験に使用した 超臨界反応装置


    カリウム-ナトリウム合金によるPCBやヘキサクロロベンゼンの脱塩素化分解  

この研究では、汚染物から抽出回収されたPCBや農薬原体のヘキサクロロベンゼン(ともに内分泌攪乱化学物質の疑いが持たれている)を脱塩素化分解するための新しい方法として、室温で液体であるカリウム−ナトリウム合金を利用する方法を研究しました。シクロヘキサンを溶媒にしますと、室温で30分ほど反応させるだけで、99%以上の塩素原子が無機化されます。副生成物はビフェニル・ベンゼンやその還元体あるいは重合物で、有害性は低いと考えられます。


図 KC600(PCBの混合物)をシクロヘキサン中、カリウム−ナトリウム合金で
脱塩素化した時のPCB濃度の変化。縦軸は対数目盛になっています。


   超音波による水中に溶存しているダイオキシン類の分解  

洗浄機として使われている周波数よりも高い周波数の超音波(200kHz)は水中に溶存している有機物を分解する性質があります。
本研究では廃水などに含まれている微量のダイオキシン類を超音波で分解する研究を行っています。


      図 超音波照射による水中の2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-p-ジオキシンの分解

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