研究の概要 2 (ダイオキシン研究)             

   ダイオキシン類のリスク評価と管理に関する研究

    
研究概要1 内分泌かく乱化学物質のリスク評価と管理に関する研究 へ



 
 ダイオキシンとは

ダイオキシンとは、ポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン (PCDF)をまとめてダイオキシン類と呼び、コプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)のようなダイオキシン類と同様の毒性を示す物質をダイオキシン類化合物と呼んでいます。
平成11年7月16日に公布されたダイオキシン類対策特別措置法(後述)においては、PCDD及びPCDFにコプラナーPCBを含めて“ダイオキシン類”と定義されました。 無色の固体で、水に溶けにくく、蒸発しにくい反面、脂肪には溶けやすい性質を持っています。
  
  ・ ダイオキシンの毒性 TEF、TEQ 

一番毒性の強い 2,3,7,8-四塩素ジベンゾp-ダイオキシン(TCDD)を1として、それに対する相対的な毒性の強さ、毒性等価係数(TEF)が定められています。現在のところ、ダイオキシン7種類、ジベンゾフラン10種類、コプラナーPCB12種類にTEFが付与されています。環境中のダイオキシン類は単独の物質として存在していることはまれで、多くの場合、混合物として存在しています。混合物としてのダイオキシン類の量は、個々の化合物のTEFに存在量をかけたものの和、毒性等価量(TEQ)として表されます。

 ・ ダイオキシンの発生源と排出量

ダイオキシンの発生源は大きく分けて次の3つがあげられます。
  ・クロロフェノールやそれを出発点とする農薬などの製造過程
  ・ごみ焼却などの燃焼過程
  ・塩素殺菌や塩素漂白の過程
わが国では、家庭から出されるゴミの焼却から、ダイオキシンの発生が多いのが特徴です。    

どのような発生源からどのくらい発生しているか。環境省から発表されている発生源目録(インベントリー)最新版(平成15年12月5日発表)を掲載します。その量は、平成11年3月に出されたダイオキシン対策推進基本指針と その年の7月に成立したダイオキシン類対策特別措置法によって、年々減少してきています。


    環境省ダイオキシン類の排出量の目録(排出インベントリー) (2003.12.5発表)

    ダイオキシン類の排出量と土壌濃度の地理情報システム(GIS)マップ 

母体内に蓄積したダイオキシンが胎児に影響し、その後の神経行動発達に障害があらわれる可能性や、コプラナーPCBによる乳がんリスクの上昇を示唆している疫学調査などもあり、動物実験によるリスク評価研究と並んで、人を直接対象とした健康リスク評価がますます重要となってきています。  


当研究所では、ダイオキシン対策や影響リスク評価に必要とされる、環境試料(大気、水、土壌、焼却灰、食品など)や人の生体試料(血液、組織、尿など)に含まれるダイオキシン類の測定法の標準化や精度管理、各種試料中ダイオキシン類等のモニタリングや曝露評価、ダイオキシン類等の地球規模汚染の解明や生態系影響(各種生物を含む)の評価、新規物質への対応など一連の研究を総合的に行っています。



 

 





  研究計画

  新たな計測方法の開発

高感度分離・分析を迅速に行う簡易GC/MS測定法の開発、分析法の標準化に関する検討、 Ah受容体遺伝子レポーターアッセイを用いた迅速分析手法の開発、及び排ガスのリアルタイムモニタリング手法の開発

  ダイオキシンの健康影響

  臭素化ダイオキシン類の分析手法の開発

  地球規模のダイオキシン類汚染と生態影響に関する研究

北太平洋海域での指標生物中のダイオキシン類の分析を行い、長距離移送と分布の状況を明らかにする。 環境運命予測に関する研究として、ダイオキシン類を含むPOPsの長距離輸送特性および残留性の評価系を確立するため、モデル構造に関する理論的開発を行う。

  ダイオキシン対策

土壌・底質に蓄積されたダイオキシンを、超音波分解、熱水抽出技術、生物利用による分解により処理する要素処理技術の開発を実験室規模において行う。