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生物多様性セミナー 2006年2月

NIESフェローとして

辻 宣行(生物個体群研究チーム)


 在職4年半において、主として次の二つの研究を行った。一つは、保全のための場 所選びである。ある地域を細分化して、その場所ごとの種の在/不在データを用意す る。地域全体に生息する種を表す場所の組み合わせ(全種表現組み合わせ)に基づ き、保全のためにその場所がどれくらい重要かを示す示数、 置換不能度(Pressey et al. 1994)が提案されている。Presseyらは、全種表現組み合わせを何カ所で構成する かが不明瞭であり、近似計算を行っていた。全種表現組み合わせを求めるために一般 に時間がかかる。我々は、最少数の場所で手早く全種表現組み合わせを求める計算ア ルゴリズムを発表した(Tsuji and Tsubaki, 2004. Biological Conservation)。こ の計算アルゴリズムをサンゴ礁生物群集解析に適用した(Tsuji and Takata, 2004. FMAP Meeting)。我々のアルゴリズムは1種最低1カ所で保全するものであったが、 これを1種最低2カ所、3カ所に拡張する必要もあるであろう。また、保全計画立案 者によって、必要な条件も異なるであろう。最初から厳密に最適解を求めるのではな く、最適解の候補を手早く求め、その中から選ぶことも可能である。これについて、 竹中らと投稿準備中である。

 他の一つが、トンボを使った生息地推定である(Tsubaki and Tsuji, in press)。 我々は全国の日本産トンボのデータを10Kmメッシュで入手し、生息地予測を試みた。 種固有の生息条件はもちろんの事、調査努力の不均一性に基づくデータの信頼性も結 果に大きく影響する事が判った。