セミナーのトップページへ
生物多様性セミナー 2005年10月

土地被覆データから鳥類の生息をどのくらい予測できるか?
-自然環境保全基礎調査の結果から-

永田尚志 (生物個体群研究チーム)


 自然環境保全基礎調査(通称、緑の国勢調査)のデータを用いて、繁殖鳥類の生息 分布を予測した。1999年に行なわれた鳥類生息分布調査(第5回)では、関東地域の平 野部では515ヶ所の3次メッシュで調査がおこなわれていた。これに、アンケートに よる報告が行われていた393地域を加えた908箇所のデータを解析に用いた。そのう ち、5種以上が分布している3次メッシュは586ヶ所にすぎなかった。これは、関東 地区の3次メッシュの約2%強にしかすぎない。関東地区の3次メッシュの16箇所で 観察された繁殖鳥類77種を解析し、ロジスティック回帰モデルによって生息分布を予 測した。各種の生息確認の有無の2値データを従属変数とし、3次メッシュの標高、 傾斜、および、3次メッシュ内の各植生(市街地、畑地、水田、果樹園、休耕田、ゴ ルフ場、2次草地、単子葉草原、広葉草原、ヨシ原、2次林、松林、竹林、落葉広葉 樹林、照葉樹林、針葉樹植林、海岸植生、伐採地、裸地、開水面)の面積の22変数を 説明変数としてステップワイズ法で変数の取捨選択を行ってロジスティック回帰モデ ルで生息予測モデルを構築した。このようにして、構築した生息予測モデルはコルリ のように生息適地を比較的、高い精度で予測できるものから、モズのように生息適地 をほとんど予測できないものまで得られた。そこで、生息適地モデルに影響を与える 要因について解析を試みた。また、最近、生物多様性データから入手・利用可能にな った第6回自然環境保全基礎調査(鳥類)のデータについての解析を加え、データ精 度についての考察を行う予定である。