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生物多様性セミナー 2005年5月

個体群の存続とstorage effect: 長生きな木,長生きな種子

竹中明夫(群集動態研究チーム)


生物の個体数の時間変動は,個々の個体がどれだけ生き残るかと,どれだけ 新たに生まれるかに依存する.親個体が長生きだったり,種子が長期間休眠できたり する場合,新個体はコンスタントに補充されなくとも,ときおり大当たりの年があっ て多量の補充があれば,個体群は存続できる.これがstorage effect である.

演者は,以前から,成木が長生きして種子繁殖が時間変動するという系での多種共 存について理論的な解析を進めている.この系を,上記のような観点からあらためて 整理してみる.さらに,理論的に予想される多種共存メカニズムが実際の森林で機能 しているかをどうやって調べたらよいかについて述べる.

また,一昨年度から,九州大学新キャンパス予定地内で,林床の土のブロックをの 造成地に配置して植生回復をはかっているところで調査をはじめた.土のブロック中 で休眠していた種子から,空き地を好む先駆木本樹種が多数芽生えている.このケー スでは,種子が storageとなっている.これらの実生個体を継続して観察し,多種の 共存にかかわる諸過程の解析を行うことを計画している.セミナーではこれまでの調 査結果を簡単に紹介する.