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生物多様性セミナー 2005年11月

特定外来生物被害防止法への道のり

五箇公一 (侵入生物研究チーム)


 2005年12月7日、環境省特定外来生物分類群専門家会合マルハナバチ小グループ委 員会においてセイヨウオオマルハナバチの特定外来生物(規制対象種)指定が決定さ れた。長らく生態学分野において議論が続いた本種の生態影響について法的な「裁 き」が遂に下されたことになる。この決定にあたり、国立環境研究所侵入生物研究 チームが代表を務める農林水産省農林水産研究高度化事業「マルハナバチリスク管理 プロジェクト」の研究成果が大きく貢献した。外来種生態リスク評価研究が環境省予 算ではなく、産業省である農林水産省の予算で行われたこと、さらにその代表を農水 省の研究機関ではなく、国立環境研究所が務めたことも画期的な事例と言って良い。 また、同じく当研究室が代表を務める環境省地球環境研究総合推進費「侵入種研究プ ロジェクト」(通算2期6年間)の一環として進めてきた外国産クワガタムシ生態リス ク評価研究は一般からの関心も高く、侵入種問題の普及啓発に大いに貢献してきた。 国立環境研究所が独立行政法人化されてから5年間の中期プロジェクトにおいて侵入 生物研究チームは、一貫して外来導入昆虫の生態リスク評価研究を推進し、上記のよ うに行政および社会に対して研究成果をフィードバックする努力を続けてきた。こう した応用研究の中からまた新しい基礎的知見も得ることができ、特に生物集団の種分 化プロセスと生殖隔離の進化についての興味深い現象も捉えられた。本セミナーで は、侵入生物研究チームのこの5年間の研究成果を総括し、今後の侵入種研究の方向 性について議論する。