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生物多様性セミナー 2005年11月

淡水魚類多様性の減少機構解明とその保全

福島路生 (多様性機能研究チーム)


 「生物多様性の減少機構解明と保全プロジェクト」の中で、演者は主に北海道の淡 水魚類を対象として、1)ダムによる生息環境分断の種多様性への影響評価、2)河 川直線化による生息環境均質化の広域かつ定量的な評価、3)既存保全地域の有効性 についての評価を行ってきた。まずダムによる分断流域を日本全国規模で明らかにす ることから研究をスタートさせた。つぎに淡水魚類のデータベースを北海道で作成 し、その統計解析を通じてダムによる種多様度の低下量を空間的に定量化した。種ご との生息適地モデルからは、ダムによる影響を受けやすい魚種を特定することができ た。また、全道スケールで過去50年間の河川直線化の状況をエントロピーにもとづ く指標を用いて評価した。全道の1・2級河川では、河川形状の複雑度が約73%程 度に低下していることが明らかになった。

 道内には主にサクラマスの保護を目的として32の保護水面(禁漁河川)が設定さ れている。これらの河川流域では、確かにサクラマスをはじめ4種ほどの淡水魚類が 他の流域に比べて有意に高密度で生息している。しかし一方、保護水面で密度が有意 に低い魚種も多数(27)あり、中には絶滅危惧種にあたる種も含まれることが分 かった。保護水面は水産資源の保護には有効であるが、生物多様性保全の効果を期待 することには無理があることが示唆された。