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生物多様性セミナー 2004年11月

タイトル: 菜の花の群落を衛星データにより推定する方法について

中嶋信美 (分子生態影響評価研究チーム)


遺伝子組換え作物は2002年のISAAA統計によると16 カ国で栽培されており、 総作付け面積は5,870 万haに上り、年々拡大する傾向にある。日本には トウモロコシ、ダイズ、ナタネ、ワタが輸入されており、この中でもナタネ (和名:セイヨウアブラナ)は自然増殖が極めて容易で、野生種とも交雑しやすいが、 輸出国における作付け面積から考えて、輸入量200万トンのうち約半数が 遺伝子組換え体であると推定されている。これらは、主に植物油の原料として 種子の輸入が行われているが、種子が輸送中にこぼれ落ちるなどにより組換えナ タネが環境中に放出されると、カラシナなどの野生種と交雑して種子をつけ、 除草剤耐性遺伝子が野生種へ移行する可能性がある。特定の除草剤耐性遺伝子 の拡散は、多種多様な遺伝子によって保持されている生態系のバランスを崩し 生物多様性を損なう事態にもつながりかねない。

我が国は生物多様性条約に加盟しており、今年2月より関係法令(いわゆる カルタヘナ法)が施行されている。生物多様性保全の観点から除草剤耐性遺伝子の 拡散を防止する必要がある。そのためには「菜の花」の群落を広範囲にわたって 監視する必要がある。

本研究では関東地方のランドサットのデータ(2000年4月)から「菜の花」の群落と 推定される21地点を抽出し、実際に現地調査をおこなって確度を調べたところ14箇所で 「菜の花」の群落を確認することができた。また、輸入ナタネの輸送が行われている 関東地方の港湾や幹線道路などに自生しているナタネとその近縁野生種(カラシナなど) の種子を採取し、国立環境研究所の閉鎖系温室にて栽培し、それらの除草剤耐性について 調べたので合わせて報告する。