セミナーのトップページへ
生物多様性セミナー 2004年5月

釧路湿原達古武沼の自然再生に向けた調査研究

高村典子(多様性機能研究チーム)


釧路湿原東部3湖沼(シラルトロ湖、塘路湖、達古武沼)の自然再生については、 昨年、環境省の自然再生事業の一つに位置づけられた。まず、平成15-16年の 2年間で、特に近年環境劣化が激しいとされる達古武沼に焦点をあて、達古武沼と その周辺の環境劣化の原因を明らかにするための調査研究を行う。さらに、 自然再生の目標の設定、再生のための適切な事業の提案、事業の事後の効果を 検証できるモニタリング手法の提案などについても提言を求められている。

調査は昨年7月から、道内の幾つかの研究機関(者)との共同で開始した。 達古武沼の環境劣化の原因として考えられるのは、土地利用の変化、農業や 生活排水などの流入、河川の改変など流域の開発にともなう1)湖沼への土砂の 流入とそれに伴う底質の改変や湖内の光環境の悪化2)富栄養化に伴う湖底の 溶存酸素の低下、湖内の光環境の悪化、外来種ウチダザリガニによる底生動植物の 捕食ならびに湖底環境の改変などが想定される。達古武沼の水質や生物については、 これまでまとまった調査はほとんどなされてきていない。H15年は、達古武沼と その周辺の生態系の現状を理解するために、夏季に水質・底質・水生植物・ 植物プランクトン・動物プランクトン・ベントス・魚類までの総合的な 一斉生態系調査を行った。水質とプランクトン群集については、季節的に大きく 変化することから、4月から11月まで原則として月2回の調査を行った。また、 達古武沼生態系の劣化の原因を究明するため、達古武沼川からの流入負荷量の 算定ならびに釧路川からの逆流水の影響評価を行った。

現在までに明らかになったこと、今後明らかにすべきこと、問題点などについて 述べる。