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生物多様性セミナー 2003年9月

新たな環境に対する外来魚ブルーギルの表現型適応

米倉 竜次 (多様性機能研究チーム)


新たな環境に対する生物の適応的応答はどのくらいの時間規模で生じるのか? この問いへの科学的解答は,環境改変に対する生物の応答能力を知る上で重要である。 発表者は,人為的に導入されたブルーギルの新たな環境に対する適応的反応がどのくらいの 規模で生じているのかを調べてきた。現在,日本に定着しているブルーギルは記録上 共通の導入元(アイオワ州・ミシシッピ川)から派生しており,日本の各集団(以後, 導入集団)と共通の祖先であるミシシッピ川の集団(祖先集団)とを比較することにより, 形質の変化規模が最大40年余りの時間スケールの反応として評価できる。 導入集団ならびに祖先集団の間で,採餌に機能すると考えられる複数の形態を比較した。 導入集団における祖先集団からの形態分化の程度は導入された湖沼形態ならびに 食性と関連しており,導入された湖沼における沖合帯の割合が大きいほど, また,食性が底生無脊椎動物食から甲殻類プランクトン食へと移行するほど, 祖先集団からの形態分化の程度は大きかった。