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生物多様性セミナー 2003年12月

トンボ類の地理分布を決める要因の検討:気候、生息地面積、空間連結性

椿宜高 (プロジェクトリーダー)


生物の空間分布を説明するには大小さまざまなスケールに特異的な要因を考慮する 必 要がある。日本産のトンボのほとんど全種について、地理的な分布を記載する マルチレベルのモデルを作成中である。その途中経過を報告する。

まず、大きなスケールで重要と思われる気候(年平均気温)条件と実際の分布記録との 付き合わせによって日本全国の分布可能域を描いた。分布記録の解像度は40kmメッシュ、 年平均気温の空間解像度は1kmメッシュである。単純に気候条件との付き合わせだけで 地理分布が説明できてしまう種も一部あるが、大部分は不十分な正解率しかもたらさない。 そこで、もうひとつ下の(細かい)レベルの要因を次のようにして導入した。 40kmメッシュ内で気候条件が一致する1kmメッシュ数(生息地面積に相当)と 40kmメッシュを単位とした生息地の連結性を考慮し、ロジスティック回帰によって 生息メッシュを推定した。その結果、この解像度程度であれば、気候、生息地面積、 空間連結性の3つの要因でほぼ満足できる結果が、ほとんどの種について得られた。