セミナーのトップページへ 生物多様性セミナー 2002年7月

ため池の底生動物群集の特徴、特に周辺の土地利用と水草植生との関係について

加藤秀男(多様性機能研究チーム)


ため池の底生動物群集を池周辺の土地利用(森林、水田、市街、開放水域の 面積の割合)や池内の水草の被度との関係から検討した。土地利用のデータは、 池周囲10m、200m、1kmの3スケールを用いた。

底生動物の種類数、総密度、総現存量は、池周辺の林の面積が高くなるにつれて有意 (p<0.05、r=0.39〜0.70)に増加した。これらの増加は、主にカゲロウ目、トンボ目、 半翅目、トビケラ目、甲虫目に属する種類の出現頻度と個体数の増加によるもので あった。

カゲロウ目、トンボ目、半翅目、トビケラ目、甲虫目の内、2カ所以上から出現した 種類について、それぞれの出現した池としなかった池の間で土地利用と各水草タイプの 面積(%)を比較した結果、多くの分類群で林と水草の面積が出現した池で有意 (p<0.05)に高くなった。この内、林の面積は13taxaで有意に高くなり、 特にトビケラ目の2taxaは全てのスケールで高くなった。また、水草に依存した 種類の多くは水中の立体的な構造を利用する種類(イトトンボ類や半翅目など) であった。一方、開放水域、水田、市街の面積は、ガムシ科を除き、低くなる傾向が あった。以上より、ため池の底生動物群集の多様性、密度、現存量の増加には、 林や水草にかかわる因子がプラスに、市街、水田、開放水域にかかわる因子が マイナスに影響していると示唆された