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生物多様性セミナー 2001年9月

既存の組み換え植物から野生種への遺伝子移行の可能性の検討

中嶋信美(分子生態影響評価研究チーム)


遺伝子組換え作物は、農水省が作成したガイドラインに則った安全性評価手法、 管理手法で開放系における栽培が認可されている。 しかしながら、このガイドラインは組み換え体は適切に管理された農地で栽培され、 適切に消費されることを前提として作られている。従って、農地以外の場所 (例えば公園や家庭のベランダなど)で十分な管理が行き届かない状態で 栽培されることを想定していない。しかし、今後、この技術の適用枠の拡大 (例;ファイトレメディエーション)に伴い、農地以外の場所で生育する 非作物の植物種にこの技術が応用される事が予測されるため、 これまでのガイドラインの枠内での環境影響評価手法は不十分になることが 考えられる。実際に農地以外の場所で組み換え体を栽培する場合、 組み換え体と在来種とが交雑して組み換えた遺伝子が他の種へ拡散する事が 懸念される。本研究では野外のあまり管理されていない栽培条件で野生種へ どの程度組み換え遺伝子が拡散するかを検討するため以下のような研究計画で 研究を進めている。

  1. 既に開放系で栽培が認可された組み換えダイズとその近縁在来種であるツルマメとが、 不十分な栽培管理状態でどの程度交雑するのかを検討する。
  2. 遺伝子組み換えダイズとツルマメを人工交配し、その雑種子孫に組み換えたに 用いた遺伝子が安定に保持されていくのかどうか検討する。

(1)について今年度遺伝子組み換えダイズとツルマメの開花期の調査を行うため 国立環境研究所別団地圃場で、栽培を行った。その結果、在来のツルマメのうち 少なくとも5系統の開花期が遺伝子組み換えダイズの開花期と重なる時期があることを 明らかにした。

来年度から5系統のツルマメと遺伝子組み換えダイズを隣接して栽培した時に雑種が 形成されるかどうかの検討を行う予定である。