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気候モデルによる温暖化予測の不確実性に関する研究:火山噴火気候応答実験による制約(平成 18年度)
A study of the uncertainties in future climate prediction: Constraints by numerical experiments of climate response to volcanic eruption

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0607CD924
開始/終了年度
2006~2007年
キーワード(日本語)
地球温暖化予測
キーワード(英語)
PROJECTION OF GLOBAL WARMING

研究概要

気候モデルを用いた研究によると、今後大気中の温室効果ガス濃度が上昇すれば地表気温がさらに上昇することが予測されている。しかしどの程度まで昇温が進むかに関しては、モデルによって結果がばらつく。本研究では東京大学気候システムセンター(CCSR)/ 国立環境研究所(NIES)/ 地球環境フロンティア研究センター(FRCGC)によって開発された全球大循環気候モデルの複数のモデルバージョン(〜40、バージョンによって温暖化予測の結果が異なる)を用いて、1991年のピナツボ火山噴火後の気候寒冷化の数値シミュレーションを行う。気候モデルによる気候寒冷化の再現性を評価することよりモデルの妥当性を検討し、温暖化予測の不確実性に制約を与えることを目標とする。また研究代表者らが開発した新たな手法を用いて、火山噴火気候応答実験において働く気候フィードバック過程について調べる。モデル結果と観測との比較を行うことによりモデルの気候フィードバック過程の妥当性についても検討する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

[平成18年度]
異なる気候感度を持つ全球大循環モデル(GCM)の複数のモデルバージョン(〜 40)を用いて、大規模火山噴火に対する気候応答実験を行う。火山噴火後の地表気温変化の再現性を評価することより、異なる気候感度を持つモデルの妥当性について検討する。
火山噴火応答実験に用いるモデルバージョンのパラメータセットは [1] でアンサンブルカルマンフィルター法によって求められたセットを用いる。[1] ではそれぞれのモデルバージョンを用いてコントロール実験(気候モデルを計算する際の外部境界条件を固定させた実験)および二酸化炭素倍増実験(コントロール実験設定から大気中二酸化炭素濃度を2倍にした実験)を行い、両者の全球平均地表気温の差として気候感度を求めた。本研究の実験に用いるモデルとしても [1] と同様の水平解像度〜500km の大気大循環モデルに海洋混合層(厚さ〜50m)を結合させたモデルを用いる。上記を用いて [2] と同様の設定で火山噴火応答実験を行う。同一モデルバージョンに対して4アンサンブル(対応するコントロール実験から異なる初期値を選択)の実験を行う。全ての数値実験は国立環境研究所のスーパーコンピュータ NEC SX-6 を用いて行う。
モデルによる火山噴火に対する地表気温応答を観測事実と比較する。モデルによる再現性の指標として 1)火山噴火後の最大気温低下および 2)火山噴火による気温低下の緩和時間を考慮する。これらの指標をもとに[1]と同様の手法を用いて気候感度の確率分布を推定する。すなわち、複数のモデルバージョンから得られる気候感度の頻度分布(横軸:気候感度の階級、縦軸:気候感度がその階級に含まれるモデルバージョンの個数)を気候感度の確率分布とみなし、それぞれのモデルバージョンによる火山噴火応答の妥当性を考慮して確率分布に重みをかける(上記指標の関数として重みをかける)ことにより、新たな確率分布を作成する。
[平成19年度]
初年度の計算によって得られた火山噴火応答実験および研究協力者に提供していただいた二酸化炭素倍増実験の結果に対して、研究代表者らが開発した手法 [2] を用いて気候フィードバック解析を行う。
この解析手法は、気候変化に伴う1)地表アルベドの変化、2) 雲量・雲水量の変化、3) 大気中水蒸気量および気温減率の変化による放射収支の変化をモデル出力から診断することにより、気候システムにおける主要なフィードバック過程を定量化することが可能である。火山噴火応答実験に関しては、観測にもとづく大気放射収支データとの比較を行うことにより、モデルにおいて働く気候フィードバック過程の妥当性の検証を行う。
また二酸化炭素倍増平衡応答実験に対して気候フィードバック解析を行うことにより、温暖化時にそれぞれのフィードバック過程が果たす相対的な役割について調べる。これにより気候感度を決定づけるモデルパラメータ、そのパラメータの関与するフィードバック過程に関する理解が深まることが期待される。これは今後温暖化予測実験の解釈を行う際にも役に立つだろう。[1] J. Annan et al. (2005) Geophys. Res. Lett, Vol.33, L06704, doi:10.1029/2005GL025259. [2] T. Yokohata et al. (2005) Geophys. Res. Lett, Vol.32, L21710, doi:10.1029/2005GL023542.

今年度の研究概要

異なる気候感度を持つ全球大循環モデルの複数のモデルバージョン(〜 40)を用いて、大規模火山噴火に対する気候応答実験を行う。火山噴火後の地表気温変化の再現性を評価することより、気候モデルの妥当性について検討する。火山噴火応答実験に用いるモデルバージョンのパラメータセットは研究協力者である J. Annan 氏(地球環境フロンティア研究センター)に提供していただく。研究代表者らが昨年行った研究 [1] で用いた気候モデルを用いて、[1] と同様の設定で火山噴火応答実験を行う。同一モデルバージョンに対して4アンサンブル(異なる初期値を用いる)の実験を行う。全ての数値実験は国立環境研究所のスーパーコンピュータ NEC SX-6 を用いて行う。数値実験完了後、得られた結果を観測事実と比較する。モデルによる現実の気候変化の再現性の指標として 1)火山噴火後の最大気温低下および 2)火山噴火による気温低下の緩和時間を考慮する。 [1] T. Yokohata et al. (2005) Geophys. Res. Lett, Vol.32 L21710, doi:10.1029/2005GL023542, 2005.

課題代表者

横畠 徳太

  • 地球環境研究センター
    気候変動リスク評価研究室
  • 主任研究員
  • 理学博士
  • 地学
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