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気候・影響・土地利用モデルの統合による地球温暖化リスクの評価(平成 22年度)
Assesment of Climate Risk based on Integrated Climate, Impact, and Land Use Models

予算区分
AA 中核研究
研究課題コード
0610AA103
開始/終了年度
2006~2010年
キーワード(日本語)
温暖化リスク,将来予測,不確実性,極端現象,炭素循環変動,気候モデル,影響モデル,土地利用モデル
キーワード(英語)
CLIMATE RISK, FUTURE PREDICTION, UNCERTAINTY, EXTREME EVENT, CARBON CYCLE CHANGE, CLIMATE MODEL, IMPACT MODEL, LAND USE MODEL

研究概要

 効果的な温暖化対策を策定するためには、短中期および長期の将来に亘って人間社会および自然生態系が被る温暖化のリスクを高い信頼性で評価することが必要である。短中期については、将来30年程度に生起すると予測される極端現象の頻度・強度の変化を含めた気候変化リスク・炭素循環変化リスクを詳細に評価し、適応策ならびに炭素管理オプションの検討や温暖化対策の動機付けに資することを目的とする。長期については、安定化シナリオを含む複数のシナリオに沿った将来100年程度もしくはより長期の気候変化リスク・炭素循環変化リスクを評価し、気候安定化目標ならびにその達成のための排出削減経路の検討に資することを目的とする。地球温暖化研究プログラムにおける位置付けとしては、炭素循環観測研究から得られる最新の知見を取り込みつつ、主として自然系の将来予測情報を対策評価研究に提供するものである。 上記の目的を達成するため、極端現象の変化を含む将来の気候変化とその人間社会および自然生態系への影響を高い信頼性で予測できる気候モデル、影響モデル、および陸域生態・土地利用モデルの開発と統合利用を行い、炭素循環変動に関する最新の研究知見も取り入れた上で、多様な排出シナリオ下での全球を対象とした温暖化リスクを不確実性を含めて定量的に評価し、適応策、炭素管理オプション、および長期気候安定化目標に関する政策検討に資する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

 気候モデル、影響・適応モデル、陸域生態・土地利用モデル(いずれも全球規模のメッシュベースモデル)を相互に連携して用いて、・極端現象リスクや吸収源オプションの検討が重要となる短中期(将来30年程度)・気候安定化目標や排出削減経路の検討において重要となる長期(将来100年程度もしくはそれ以上)の二つの時間スケールのそれぞれに対して、気候変化、陸域生態・土地利用変化、およびその社会経済影響を不確実性を含めて定量的に評価する。また、経済的因子を含む土地利用モデルと気候モデル・影響モデルを統合利用することにより、温暖化将来予測における自然システム‐社会システム間のフィードバックのモデル化を試みる。 具体的には、以下の3つのサブテーマで構成される。
(1)気候モデル研究・気候モデルの改良および必要な新規実験を行う。但し、想定されるIPCC第5次報告書のタイミングを考慮すると、組織立った新実験は本プロジェクトの終了時期頃に行うのが効果的なため、本プロジェクトでは主として既存のモデルと実験結果を利用する。・特に短中期に注目し、温暖化に伴う熱波や豪雨等の極端現象の変化を地域的に詳細に評価する。・モデルの様々な検証、雲‐エアロゾル過程など各種フィードバックの評価、20世紀再現実験の評価等を通じて、気候変化の定量的予測(気候感度)の不確実性を評価し、その低減を図る。・気候感度の不確実性の定量化に基づき、短中期および長期の気候変化予測を確率的表現により定量化する。・炭素循環過程を結合した気候モデルを利用して、気候‐炭素循環フィードバックの不確実性を評価する。サブテーマ3の陸域生態・土地利用モデルとの連携により、農林業による土地利用変化を考慮した気候変化予測を行う。
(2)影響・適応モデル研究・サブテーマ1で得られる気候変化予測、サブテーマ3で得られる土地利用変化予測、およびAIM(中核プロジェクト4)の社会経済発展シナリオに基づき、温暖化の食料生産・水害・水資源・健康への影響を全球規模で評価する。・影響モデルを高度化し、短中期の温暖化に伴う熱波や豪雨等の極端現象の変化による社会的影響を評価する。・気候変化予測の不確実性の定量化を基に、確率的表現による温暖化影響のリスク評価を行う。特に、いくつかの安定化目標について、目標別に長期の影響評価を行う。・影響評価結果に基づき、地域別の適応策の検討・提案を行う。・食糧生産および水資源影響モデルと、サブテーマ3の土地利用モデルとの整合的な統合利用を図る。
(3)陸域生態・土地利用モデル研究・サブテーマ1で得られる気候変化予測およびAIM(中核プロジェクト4)の社会経済発展シナリオに基づき、将来の陸域生態(森林・草地等)と土地利用(林地、農地等)の変化を全球規模で評価する。・陸域炭素吸収源活動に対する温暖化対策からのインセンティブを含む、経済活動に伴う土地利用変化を考慮することにより、気候変化と社会経済要素のフィードバックを評価する。・短中期および長期の将来における陸域炭素吸収源ポテンシャルならびにバイオマス資源ポテンシャルを評価する。 ・衛星情報と社会経済インベントリ情報を用いて、高精度な土地被覆データセットを構築し、陸域生態・土地利用モデルへの入力とするとともに、影響モデル、気候モデルにも提供する。・土地利用モデルと、サブテーマ2の食糧生産・水資源影響モデルとの整合的な統合利用を図り、サブテーマ1の気候モデルに土地利用変化シナリオを提供する。

今年度の研究概要

気候モデル、影響モデル及び陸域生態・土地利用モデル各々の高度化と、極端現象及び不確実性を考慮したモデルの高度利用を行う。また、地球温暖化リスクの総合的な評価を行うため、モデルの統合利用及び結合の作業を進めるとともに、モデルによる評価が困難な要素も含めたリスクの全体像の整理を行う。具体的には、
(1)気候モデルについて、国内他機関と連携し、IPCC第5次評価報告書に向けた新しい気候変化予測実験を実施するとともに、その実験結果の初期的な解析を行う。また、予測の不確実性を定量化する手法の改良を行う。さらに、IPCCの新しいシナリオ開発プロセスに対応して、気候シナリオと社会経済シナリオを結びつける分析を開始する。
(2)影響モデルについて、農業モデル・水文モデル・土地利用モデルの統合利用により、将来の水・土地制約が世界規模の食料供給に与える影響を分析するとともに、影響の不確実性定量化の手法を高度化し、水文および健康影響の不確実性を定量化する。また、専門家とメディアとの意見交換等を通じ、地球温暖化リスクの全体像の把握と伝達に関して検討する。さらに、世界規模の適応策のあり方についての検討を行う。
(3)陸域生態・土地利用モデルについて、陸域生態モデル及び土地利用モデルの高度化を進めるとともに、IPCCの新シナリオに対応する、詳細な空間分布を持つ土地利用変化シナリオの開発に着手する。さらに、気候、水文、農業モデルとの連携を通じて、陸域生態系に対する温暖化影響を評価するとともに、土地利用分野における緩和・適応政策について検討を開始する。

備考

2006年度までは経常研究0308AE591で気候モデルの雲プロセス検証の研究について一部を登録していた。

課題代表者

江守 正多

  • 地球環境研究センター
    気候変動リスク評価研究室
  • 室長
  • 博士(学術)
  • 理学 ,地学
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担当者

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    高橋 潔社会環境システム研究センター
  • 小倉 知夫地球環境研究センター
  • 伊藤 昭彦地球環境研究センター
  • 山形 与志樹地球環境研究センター
  • 野沢 徹
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    肱岡 靖明社会環境システム研究センター
  • 日暮 明子環境計測研究センター
  • 永島 達也地域環境研究センター
  • 花崎 直太地球環境研究センター
  • 塩竈 秀夫地球環境研究センター
  • 木下 嗣基
  • 長谷川 聡
  • 阿部 学(地球C)
  • Strassmann Kuno
  • 長友 利晴
  • 哈斯 巴干
  • Anna Peregon
  • 安立 美奈子
  • 中道 久美子
  • 川瀬 宏明
  • 楊 ギョク
  • 鄭 輝ちょる
  • 飯尾 淳弘
  • 瀬谷 創
  • 庄山 紀久子
  • 横畠 徳太地球環境研究センター
  • 石崎 安洋
  • 申 龍熙
  • 石渡 佐和子