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ヒ素代謝細菌を指標とした環境中の薬剤耐性細菌群の評価手法の開発(令和 5年度)
Development of evaluation method for antibiotics-resistant bacterial communities in the environment using arsenic-metabolizing bacteria

研究課題コード
2325CD009
開始/終了年度
2023~2025年
キーワード(日本語)
ヒ酸還元細菌,亜ヒ酸酸化細菌,抗生物質耐性細菌
キーワード(英語)
arsenate-reducing bacteria,arsenite-oxidizing bactreria,antibiotics-resistant bacteria

研究概要

本研究では、好気性ヒ酸還元細菌と亜ヒ酸酸化細菌の活性等を指標として、環境サンプル中の薬剤耐性菌群の評価を試みる。また、培養法と分子生物学的手法を組み合わせることで、詳細な調査を行う。具体的には、抗生物質を添加した模擬汚染土壌を液体培地を用いて培養し、ヒ酸還元/亜ヒ酸酸化活性を調べることで、サンプル中の薬剤耐性菌の優占度や耐性遺伝子拡散の可能性を評価する。優占細菌株の分離や遺伝子解析など詳細な調査を行い、実際に薬剤耐性細菌の挙動が把握できていることを検証する。最終的には、環境サンプルを用いた実証試験を行い、実際の調査に適用するための標準プロトコルを作成する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

本研究では、好気性ヒ酸[As(V)]還元細菌と亜ヒ酸[As(III)]酸化細菌の活性等を指標として、環境サンプル中の薬剤耐性菌群の評価を試みる。また、培養法と分子生物学的手法を組み合わせることで、詳細な調査を行う。以下4つを段階的に検討する。
1. As(V)還元・As(III)酸化の活性測定に最適な培養系の確立
2. 好気性As(V)還元細菌を指標とした薬剤耐性菌群の評価
3. As(III)酸化細菌を指標とした薬剤耐性菌群の評価
4. 実環境サンプルを用いた実証試験

今年度の研究概要

1. As(V)還元・As(III)酸化の活性測定に最適な培養系の確立:本研究では、環境サンプルをAs(V)あるいはAs(III)を含む液体培地を用いて培養し、そのAs(V)還元あるいはAs(III)酸化活性を調べることで、サンプル中の薬剤耐性菌の優占度等を包括的に評価できると考えている。そこでまず、これらの評価に最適なAs(V)還元・As(III)酸化活性測定の条件を検討する。
2. 好気性As(V)還元細菌を指標とした薬剤耐性菌群の評価:好気性As(V)還元細菌は、環境中に広く存在しているが、抗生物質が存在すると共耐性作用によってそれらが選択圧となり、相対的な存在量や活性が上昇する可能性が高い。そこで、この推論を実証するために、抗生物質を添加した模擬汚染土壌を作成し、一定期間ごとにサンプリングを行って実験に供する。それぞれのサンプルに対して、抗生物質存在下でのAs(V)還元活性試験を実施し、コントロール系(抗生物質非添加)と比べて活性が上昇することを確認する。さらに、次世代シークエンサーを用いた16S rRNA遺伝子のアンプリコン解析により細菌叢をモニターし、サンプル内で優占する耐性細菌群を把握する。

外部との連携

千葉大学との共同研究

課題代表者

山村 茂樹

  • 地域環境保全領域
    土壌環境研究室
  • 室長(研究)
  • 博士(工学)
  • 生物工学,土木工学
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