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ニホンミツバチの分蜂回数の増加はコロニー生残率を下げるか(令和 5年度)
An increase in the swarming frequency might reduce the colony survival rate of Japanese honeybees

研究課題コード
2325CD003
開始/終了年度
2023~2025年
キーワード(日本語)
ニホンミツバチ,分蜂,気候変動
キーワード(英語)
Japanese honeybee,swarming,climate change

研究概要

 本研究の目的は、ニホンミツバチの分蜂回数の増加が生じた要因を解明し、その増加がもたらすコロニーへの影響を調査することで、今後のニホンミツバチ集団の動態を予測することである。これまでの事前調査により、1コロニーあたりの平均分蜂回数がここ20年で増加傾向にあることが示されたが、分蜂回数の増加はニホンミツバチの存続に必ずしも有利であるとは限らない。この仮説について検証するために、全国のニホンミツバチ飼育者から多量のデータを収集することで、分蜂回数を決定する要因およびコロニー生残率への影響について調べ、ニホンミツバチ集団の将来予測を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

 本研究では、ニホンミツバチ飼育者を対象に行うアンケート調査に加えて、地理的データと気象データを用いることで、分蜂回数増加の「要因」と「コロニーへの影響」について解析し、その結果から、ニホンミツバチ集団の長期変動予測を行う。はじめに、全国のニホンミツバチ飼育者と連携し、分蜂データの記録を依頼する。飼育者が行う分蜂データの記録は、?分蜂前のワーカー数、?分蜂回数、?分蜂時のワーカー数、?分蜂後のコロニーの生残状況の4つに大別される。上記のデータに加え、国土地理院のGISから土地利用と地理的勾配のデータを、農研機構のメッシュ農業気象データシステムから気温等の気象条件のデータを収集し、解析を行う。
分蜂時のデータが得られる2024年度には、分蜂回数を決定する要因を明らかにするため、分蜂前のワーカー数と分蜂回数、GISデータ、気象データを用い、各要因が分蜂回数に与える影響を推定する。次に、分蜂後のコロニーの生残状況のデータが得られる2025年度には、分蜂回数が生残率に影響するかを調べる。これらの解析結果と将来の温度上昇のシナリオを組み合わせることで、分蜂回数の変化とそれに伴うニホンミツバチ集団の動態予測を目指す。

今年度の研究概要

 全国のニホンミツバチ飼育者と連携し、調査対象となるコロニーのリストを作成する。また、分蜂データを記入するための記録用紙を作成・送付する。この際、後の解析で必要になりうるコロニーの基礎的な情報(営巣開始年や採蜜状況など)についても収集する。必要に応じて、分蜂データの記録時における作業の説明やレクチャーを行う。

課題代表者

森井 清仁

  • 生物多様性領域
    生態リスク評価・対策研究室
  • 特別研究員
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