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オゾンによるイネの不稔性誘導遺伝子座の同定と新たな収量低下機構の解明(平成 26年度)
Identification of locus involved in ozone-induced sterility and elucidation of novel mechanism of yield reduction in rice under elevated ozone condition

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1416CD013
開始/終了年度
2014~2016年
キーワード(日本語)
イネ,オゾン,収量影響
キーワード(英語)
RICE, ozone, impact of crop yield

研究概要

アジアの発展途上国における大気汚染は依然深刻な問題であり、この地域における大気汚染ガスの一種であるオゾンの濃度は今後もさらに上昇すると予測されている。高濃度のオゾンは作物の生育や収量を低下させることが示されており、将来のアジア地域の食糧問題に重大な影響を及ぼすと考えられる。本研究では、オゾン濃度上昇による収量低下が著しいインディカ型イネを対象に、オゾン暴露による新たなイネの収量低下メカニズムの解明を目的とした。インディカ品種カサラスの主な収量低下要因は稔実率の低下であることが示唆されているが、葯や花粉などの生殖器官へのオゾンの直接的な影響に関するメカニズムあるいは関連遺伝子については殆ど解明されていない。そのため本研究では、カサラスのオゾン暴露による不稔発生と生殖器官に及ぼす影響を調査すると同時に、コシヒカリ/カサラス由来の染色体置換系統群(CSSLs) を用いた量的形質遺伝子座(QTL)解析を行い、オゾンによる不稔増加に関わる遺伝子座を同定する。また、さらに詳細な遺伝子マッピングを行い、オゾン濃度上昇時にイネの不稔を誘導する遺伝子を解明する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

平成26年度:カサラス、コシヒカリおよび両品種由来のCSSLsについてオゾン暴露試験を行い、収量および収量構成要素を調査する。CSSLsの収量調査結果からQTL解析を行い、オゾンによるイネ籾の不稔増加に関わる遺伝子座を同定する。また、オゾン暴露が生殖器官の形態、葯や花粉の発達にどのように作用するかを明らかにする。
平成27年度:1年目と同様のオゾン暴露試験を行って反復調査し、平成26年度の結果の再現性を確認する。また、原因遺伝子が存在している染色体上の位置を更に狭めるため、1年目の調査から同定された遺伝子座を保持していたCSSLに親品種を戻し交雑したBC1系統群を作出する。
平成28年度:作出したBC1系統群をさらに戻し交雑し、目的遺伝子座を含む染色体領域を分離する集団(NIL)を開発する。また、オゾン暴露したカサラスとコシヒカリの幼穂や穎花、葯等を用い、QTL解析により同定された遺伝子座に存在する既知遺伝子の発現量解析を行うことにより原因遺伝子を推定する。以上の結果から、オゾン濃度上昇時にイネの不稔を誘導する遺伝子の解明に寄与する。

今年度の研究概要

1)カサラス、コシヒカリおよびコシヒカリ/カサラス由来のCSSLsについてオゾン暴露試験を行う。このオゾン暴露試験は国立環境研究所の圃場に新しく設置するオゾン暴露設備によって行う。イネの収穫まで暴露試験を行った後、収量構成要素の調査およびカサラス、コシヒカリについては籾の胚乳肥大を確認し、オゾンが籾の不稔に与える影響を明らかにする。CSSLsについては、収量と登熟歩合に着目してQTL解析を行い、オゾンによるイネ籾の不稔増加に関わる遺伝子座を同定する。
2)1)の暴露試験時に、収量調査用とは別にCSSLsの親系統(カサラス,コシヒカリ)から穎花を採取し、顕微鏡観察および花粉稔性の調査を行う。同時に花粉も採取し、花粉菅の発芽と伸長を測定し、オゾンがインディカイネの生殖器官に与える影響を明らかにする。

外部との連携

日本学術振興会特別研究員である澤田寛子氏が研究課題代表。

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

玉置 雅紀

  • 福島支部
    環境影響評価研究室
  • 主席研究員
  • 博士(農学)
  • 生物学,農学,生物工学
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