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東南アジア熱帯地域の集落保護林の保全価値(平成 26年度)
Conservation value of fragmented forest reserves used by local communities in Southeast Asian tropical region

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1414AQ004
開始/終了年度
2014~2014年
キーワード(日本語)
種多様性,熱帯林,民族植物利用,集落保護林
キーワード(英語)
species diversity, tropical forest, ethnobotanical use, community forest

研究概要

ボルネオ島の地域社会がもつ集落保護林(プラウ)を対象とし、複数のプラウが地域の種多様性を保持する役割を持つことを、生物学的解析により示す。また、地域の人々のラタンの利用に注目しながら、プラウから受け取るサービスを評価する。プラウの生物多様性保持機能だけでなく、生物多様性がもたらす生態系サービスを明示し、最終的にはプラウを用いた保全策の提言を行うことを目標とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

(1) プラウの樹木の種多様性評価
対象とする地域(~200km2)のプラウ7-9ケ所に植生調査プロットを設置し、樹木の種多様性を測定する。個々のプラウのα、β多様性、地域のγ多様性を用いたadditive diversity partitioning法などでそのプラウの地域の多様性に対する貢献度を定量化する。ここで、コントロールとして調査地から100km離れた場所のランビル国立公園のプロットデータ(原生林)を用いる。また、個々のプラウの多様性指標とその積算を比較して地域の多様性がプラウによってどの程度カバーされるかを検討する。

(2) 生物多様性に影響する要因の解析
プラウの種多様性に影響する要因を明らかにする。特に、プラウの面積、原生林からの距離、周囲の土地利用、伐採履歴を考慮する。

(3)プラウからのサービスの供給
人々のラタン(籐)の利用に注目する。これまでの予備調査で、人々は村の土地(主にプラウと二次林)から20種以上のラタンを採集し、用途によって使い分けていることが分かっている。生態系サービスの中でも生物多様性に直結しており、また日用工芸品の原材料の供給(供給サービス)だけでなく、伝統的な文化・慣習(文化的サービス)にも関わっている材料である。ラタン採集におけるプラウの利用状況について、社会的な状況が異なる都市近郊と遠隔地域で調査を行う。特に、都市近郊のプラウはプランテーションに囲まれているために、ラタンの種多様性が少なく、利用が限られており、逆に農村部ではプラウ内の種多様性が高く、人々の利用種数も多いと考えられる。また、プラウに種多様性があったとしても、都市化などの影響から、実際の利用種数が限られている場合もあるだろう。そこで、プラウの種多様性(潜在的サービス供給能力)と実際の利用(サービス享受)の間の関係性を、社会的背景を踏まえた上で明らかにする。

今年度の研究概要

4回の現地調査を行い、以下の調査を行う。

ラタンの種多様性:昨年度設置した調査プロットに生息するラタンの種数、個体数を記録する。

ラタンの利用調査:都市からの距離が異なる4つの村で聞き取り調査を行い、利用するラタン種や知識を村人にインタービューする。

種多様性に影響を与える要因の解析:プラウの中の樹木の種多様性に影響を与える4つの要因を考慮した統計モデルを作成し、どの要因が種多様性に影響を与えるかを明らかにする。解析はベイズモデルを使用する。後述のように空間スケールを大きくして解析を行うため、空間スケールに応じてパラメータが変化する場合にも対応できる。

種多様性に影響を与える要因のスケール依存的な変化:面積を増やしたときにそこに含まれる種数は、局所スケールでは傾きの急な曲線、中程度から地域スケールではゆるやかな線形、さらに大きな大陸スケールでは再び急勾配となることが経験的に知られている。こういったスケール依存的な変化は、種数の生物学的な決定要因の違いを反映していると考えられる。理論的には、局所スケールではニッチ集合規則が卓越し、少し大きな空間スケールでは地域個体群からの移入の程度が重要になってくると予測されている。種多様性が面積だけでなくスケール依存的な現象によって影響を受けることを検討する。

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

竹内 やよい

  • 生物・生態系環境研究センター
    生物多様性評価・予測研究室
  • 研究員
  • 理学博士
  • 生物学,林学
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