ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

国際河川メコン川のダム開発と環境保全−ダム貯水池の生態系サービスの評価(平成 25年度)
Dam development and environmental conservation in the international river, the Mekong - the assessment of ecological services in reservoirs

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) D-1202
研究課題コード
1214BA005
開始/終了年度
2012~2014年
キーワード(日本語)
メコン川,ダム貯水池,生態系サービス
キーワード(英語)
the Mekong River, reservoirs, ecological services

研究概要

本研究は国際河川メコン川で急速に進むダム開発による生態系への影響、特に淡水魚類の生物多様性と生態系サービスへの影響を予測し、リスクの少ない開発にメコン地域を導くことを目的とする。メコン川には南米アマゾン川に次いで世界で2番目に多い淡水魚種が生息し、世界最大の漁業生産(約260万トン/年)が流域の人口約7千万の人々の食料と生計を支えている。しかし、流域では近年の著しい経済発展に伴い電力需要が急増し、発電用ダムの開発計画が目覚ましい勢いにある。本研究は、ダム貯水池生態系の物質循環を解明し、開発で失われる生態系サービスをどこまで貯水ダムでの漁業生産によって補えるかを評価する。またダム開発に伴い想定される自然環境の劣化を回避あるいは緩和するための政策提言を本研究活動を通じて行う。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

サブテーマ1(ダム貯水池の物質循環)ダム貯水池の底泥での微生物による有機物分解速度、特に栄養塩の底泥からの回帰速度、一次生産量、植物プランクトン組成、ミクロキスティス濃度などをモニタリングする。メコン流域全体でのアオコ発生予測モデルを構築する。貯水池の物質循環に関して窒素・炭素安定同位体比を指標に評価する。
サブテーマ2(メコン淡水魚の基礎生物学的研究)ダム貯水池に養殖の目的で放流される淡水魚について、食性・成長・繁殖等の基礎生物学的な特徴を把握する。各貯水池の漁獲統計データを解析して漁業生産量を求める。養殖に適した魚種の選定や適正放流量を求める。
サブテーマ3(メコン淡水魚の回遊生態解明)在来の淡水魚(放流魚を含む)について、その回遊および産卵生態を調べる。ダム建設予定地と(推定された)重要な回遊経路あるいは産卵場所との空間的な関係を解析し、生態系サービスや生物多様性の著しい低下を招く恐れのある、生態リスクの高いダム開発を事前に検出する。
サブテーマ4(ダム建設の生態学的コスト-ベネフィット解析)数理モデルを用いて、ダム開発で失われる漁業生産(コスト)をダム貯水池の淡水魚養殖から得られる漁業生産(ベネフィット)でどこまで補うことができるかについて科学的に検証する。

今年度の研究概要

(1)メコン流域での現地調査を継続。食物網構成要素となる生物群に対し,炭素・窒素安定同位体比を求め,栄養段階と有機物の起源を推定する。
(2)日輪・年輪解析を継続するとともに成魚の年輪数から年齢査定を行い、成長モデルを構築する。ダム貯水池で採取される養殖魚、また河川から漁獲される野生魚のそれぞれについて食性を調べる。
(3)耳石の化学分析による回遊生態解明を継続する。
(4)閉鎖系であるダム貯水池と開放系である河川の生態系での物質循環を再現し、生産性また持続可能性を比較するための数理モデルを開発する。

外部との連携

共同研究者:森岡伸介(独立行政法人 国際農林水産業研究センター)、Tuantong Jutagate(Ubon Ratchathani University, Thailand)、Bounthob Praxaysombath(National University of Laos, Lao PDR)、Bounsong Vongvichith(Living Aquatic Resources Research Centre)、Pao Srean(Battambang University, Cambodia)

関連する研究課題

課題代表者

福島 路生

  • 生物・生態系環境研究センター
    生態系機能評価研究室
  • 主任研究員
  • 水産学博士
  • 水産学,農学,生物学
portrait

担当者