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生態系サービスからみた森林劣化抑止プログラム(REDD)の改良提案とその実証研究 (2)炭素ストックの強化による劣化抑止プログラムの改良策とその実現性に関する研究(平成 23年度)
Experimental studies for upgrading REDD mechanism with incorporating the ecosystem services and values

予算区分
BA 環境-地球推進 D-1005
研究課題コード
1012BA006
開始/終了年度
2010~2012年
キーワード(日本語)
熱帯林,REDD,MRV,土壌呼吸
キーワード(英語)
Tropical forest, REDD, MRV, soil respiration

研究概要

(背景) 2013 年以降の温室効果ガス削減手段として先進国の森林などの吸収源に加え,途上国における森林減少・劣化の防止による排出削減対策(以下REDD)が提唱され,途上国が温暖化対策として取り組める最も効果的な吸収源活動として期待された。ところが,林地と農地の境界設定を既に行った国は, “森林面積の減少”は存在しないと主張し,「森林面積減少抑止によるREDD」への大きな関心は示さなかった。とはいえ,熱帯地域では今後,残存する森林資源への依存度が一層強まる可能性が高く,森林劣化は深刻化する。森林からの炭素排出のかなりの部分がこの森林劣化によるものであることが近年の研究によって明らかにされていることを考えると,途上国においても京都議定書3 条4 項と同様のメカニズムの導入と実施;すなわち森林の持つ健全性を維持しつつ森林資源を持続的に管理し,吸収源機能を高めるための“仕組み”が強く求められて然るべきである。こうしたことから,従来のREDD の考え方に「保全や森林の持続的経営」など取り入れるべきであるとするREDD-Plus がバリ行動計画において提唱されるに至り,急速にREDD による森林劣化の抑制効果に期待が高まるようになった。
このような背景から,申請者らはREDD よりもさらに一歩踏み込んだ仕組み,すなわち森林の生態系サービスを重視した森林劣化抑止のための早急なる枠組設定が必要であると考え,本提案に至った。本提案課題は森林資源の持続性重視という点ではREDD-Plus を踏襲するが,生物多様性,炭素の貯留機能,地域社会との接点,流域保全などの生態系サービスの強化を重視したエコシステムアプローチを取り入れるという点で独自性および統合性の高いものである。本研究課題の目標は、森林の機能をより高い次元に導くためのインセンティブ導入とそのための実証研究および,成果を独自の枠組として世界に向けて発信することである。
「森林劣化」は「森林減少」に比べてより高度な調査手法が求められ, 正に地を這う調査を必要とする。申請者らはこれまでも東南アジアを中心に長期森林観測を続けており,特に森林劣化に焦点をあてた炭素ストックや生物多様性などの生態系サービスへの影響評価手法の開発,および地域社会における自然資源管理のあり方などに関する研究を行ってきた実績があり,本研究課題の実行とそれに基づく政策提案が十分可能である。
(研究目的)森林減少・劣化の防止による排出削減対策(以下REDD)が提唱され,途上国が温暖化対策として取り組める最も効果的な吸収源活動として期待されているが,近年熱帯林地域の多くを含む開発途上国で問題化しているのは「森林面積の減少」に加えて,無秩序な森林伐採,違法伐採,焼き畑などによる「森林劣化」である。これらは地域的な社会問題や貧困問題に深く根ざしており,劣化を防止するには,地域社会の「直接的な関わり」によって如何に森林のもつ生態系サービスの劣化を防ぎ,健全化への道筋を立てるかが鍵を握っているといえる。そこで,申請者らは森林劣化抑止プログラム(REDD)に「生態系サービスの向上」を取り入れた新たな枠組構築(改良型劣化抑止プログラムの導入)をおこない,それを世界に向けて発信することを目標とする実証研究を提案する。本提案課題では具体的には以下を目的とする。1) 生態系サービス評価による劣化抑止プログラムの向上化(アップグレード化)ための手法開発を行う。2)地域社会・住民による劣化抑止プログラムへの参加のためのインセンティブ導入方法の探索と問題点抽出をおこなう。3)地域社会への利益還元のための社会的支援,法的枠組のあり方を検証する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

森林減少・劣化の防止による排出削減対策(REDD)の改良型として,あらたな劣化抑止プログラムのモデルプランを策定する。またそのための実証研究を東南アジアの熱帯雨林地域(インドネシア,マレーシア)で行う。具体的には以下を行う。1)生態系サービス評価の視点を取り入れることにより,森林資源採取活動による「劣化」がどの程度抑止できるか,逆にそれにより森林の潜在的機能がどの程度改善,強化できるかを明らかにするための現地調査を行う。2)改良型劣化抑止プログラムには地域社会・住民の参加が必要不可欠であるという点から本提案プログラム導入によって発生するクレジットの再配分方法に関して地域性やガバナンスの形態に応じたプランを提案する。またそのための現地調査を行う。3)改良型劣化抑止プログラムの導入によって地域社会間およびそれらと国家や国際社会が相利共益の関係を築くためにはどのような法的根拠が必要なのか,慣習法や国内法の運用面からみた分析を行う。4)成果を統合化しモデルプランとして作成て,COP-SBSTAでサテライト会議などを企画し世界に向けて発信する。

今年度の研究概要

施業後の残渣,および土壌からの温室効果ガス発生を測定することを念頭にサブテーマ1 の調
査地を対象にして試験地を設置・設定する。伐採後の経過年数が異なる場所にも調査区を設置する。上記の内容を主体として現地調査, および従来のデータ収集する。路網密度,残渣量, 伐採後の経過年数と温室効果ガス発生量,炭素ストック量などにつて分析する。

外部との連携

広島大学、鹿児島大学、日本福祉大学、共栄大学

関連する研究課題

課題代表者

梁 乃申

  • 地球環境研究センター
    炭素循環研究室
  • 主任研究員
  • 学術博士
  • 林学
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担当者