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毒性予測にむけた化学物質と生体分子との分子軌道法による反応モデル構築(平成 22年度)
Model Development of Reactivity about Chemicals using Molecular Orbital theory and analysis for the Toxicity Prediction

予算区分
AF 奨励
研究課題コード
0910AF003
開始/終了年度
2009~2010年
キーワード(日本語)
化学物質,毒性,量子化学計算,モデル
キーワード(英語)
chemicals, toxicity, quantum-chemistry calculation, models

研究概要

化学物質の毒性試験の代用として、定量的構造活性相関(QSAR)の利用が重要であり、NIESでも生態毒性予測システムKATEが開発されてきた。現在のKATEは単回帰QSARであり、記述子LogPだけでは毒性の説明が難しい反応性の高い物質の毒性予測が課題である。本課題では、分子軌道計算により反応性の高いα,β不飽和カルボニル基を持つ化学物質と生体分子グルタチオン(GSH及びGSHの部分構造)の反応過程や相互作用を明らかにし、反応性から毒性を表現する記述子の提案を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

1.研究対象
化学物質:KATEの参照物質に利用されているα,β不飽和カルボニル基を持つ物質
求核剤:グルタチオン(GSH)及び「GSHの部分構造(例:CH3SH, CH3S-)」
・GSHはトリペプチドの生体分子である。
・実験においてα,β不飽和カルボニル基を持つ物質とGSHとの反応性(例:GSHの失活速度)が毒性と相関があるとの論文報告がなされているが、反応の詳細は明らかでない。
2.計算の実施
(H21年度)
ステップ1:化学物質とGSHの部分構造CH3SHやCH3S-の非経験的分子軌道計算を実施し、遷移状態と反応座標につながる生成物と反応物の構造と活性化エネルギーを求める。更に水分子や他の官能基との化学物質の相互作用の強さや反応性への影響をエネルギー極小構造計算により確認する。
(H22年度)
ステップ2:GSHと化学物質に対してエネルギー極小構造計算を実施し、化学物質と生体分子内の相互作用の強さを決める因子を明らかにする。必要に応じて分子動力学計算を実施し、分子運動の観点からGSHと化学物質の反応性の高さを調べる。
・生体分子内の各々の官能基の相互作用の強さが生体分子と化学物質の反応性・相互作用に影響するのか、CH3SHだけでGSHの結合性を説明づけられるのか明らかにする。
3.反応性と毒性の相関の解析・記述子の提案
・計算で得られた数値データの内どれが反応性・相互作用を説明できるか確認する。
・反応性のデータ・物性値から毒性を強くする因子を解明し、記述子を提案する。
・例えば活性化エネルギーは反応の起こりやすさを示す指標であり、反応性を記述するQSARの記述子の候補として挙げられる。

今年度の研究概要

α,β不飽和カルボニル基を持つ化学物質とGSHの反応物・生成物の安定構造の計算を行い、チオール基以外のGSHの部位の影響を確認する。さらに化学物質やGSHの立体構造にとくに注目して毒性の強さの要因を明らかにする。加えてキノン骨格を持つ物質の反応機構について考察進める。最終的には反応性と毒性の相関の要因を解明し、毒性予測の記述子を提案する。

課題代表者

古濱 彩子

  • 環境リスク・健康研究センター
    生態毒性研究室
  • 主任研究員
  • 学術博士
  • 化学,理学 ,コンピュータ科学
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