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海面上昇に対するツバル国海岸の生態工学的維持に関する研究(平成 21年度)
Research on eco-technological management of Tuvalu coast against sea level rise

予算区分
KB JST
研究課題コード
0812KB001
開始/終了年度
2008~2012年
キーワード(日本語)
サンゴ礁,環礁州島,海面上昇,生態工学
キーワード(英語)
coral reef, atoll island, sea-level rise, eco-engineering

研究概要

ツバル国は標高1〜3mと低平で,今世紀の海面上昇による水没の危機にある.一方で,急増する人為圧力によってサンゴ礁生態系の劣化が進み,国土の堆積物を作るサンゴや有孔虫の生産量が著しく減少している可能性が高い.本研究の目的は,ツバル国フナフチ環礁において,サンゴと有孔虫が作る砂の生産−運搬−堆積過程と,生態系劣化に伴う減少を評価して,生態系の保全・復元を通じて将来の気候変動に対して復元力の大きな島を再生することである.

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

1)砂の生産量の見積もり
 ツバル,フナフチ環礁フォンガファレ島の海岸に沿って,海岸線に直交する測線を設定する.測線は,島の主部3kmでは,300mごとにラグーン側,外洋側にそれぞれ10本,計20本,島の南北20kmでは,2kmごとにラグーン側,外洋側にそれぞれ10本,計20本の,全部で40測線を設ける.さらに環礁全域で比較のために20本程度の測線を設ける.設定した測線に沿って,水深10mまでの地形と生物分布を調査し,主要な石灰質生産者(サンゴ,有孔虫,石灰藻)について,現存量を見積もる.
 次に,主要な石灰質生産者について,現場における年間を通じた現存量調査と飼育実験によって,現存量あたりの砂の生産量を求める.こうして求めた測線ごとの生物の現存量・生産量を,衛星リモートセンシングによって面的に広げ,「ハビタット・砂生産地図」としてまとめる.
2)砂の運搬量の見積もり
 砂の生産を見積もった測線から適当な地点を選定して,流速計と波高計を設置して,流速と波高の通年観測を行う.この結果に基づいて,フォンガファレ島における,沿岸流と漂砂ポテンシャルを見積もる.また,測線沿いに底質を記載,堆積物を採取して,砂の堆積状況を「ハビタット・砂生産地図」に加える.さらに,現地観測によって実際の漂砂量を求め,計算値と比較する.
3)堆積量の見積もり
 フォンガファレ島を横断する5測線において,トレンチ調査を実施して,島を構成する堆積物の粒度と構成(サンゴ,有孔虫,石灰藻など)を求める.さらに砂試料の放射性炭素年代測定を行って,堆積速度を見積もって,その歴史的変化を評価する.
4)ハビタット・砂収支地図と収支の時間的変化
 1),2),3)の結果に基づいて,フォンガファレ島の砂の生産,運搬,堆積の収支とその場を地図としてまとめる.また,現在の収支と過去の堆積速度を比較,生態系の変化についての観察結果,過去の空中写真や衛星画像によるハビタットと地形データの時系列解析によって,砂の収支の時間的変化を評価する.こうした結果に基づいて,ハビタット・砂修士地図を作成するとともに、海岸線を特徴付け、脆弱性マップや侵食に関するハザードマップを作成し、同地図上で,サンゴや有孔虫の生態系破壊によって生産を阻害する要因,人為構築物や地形改変によって運搬や堆積を阻害する要因を特定する.
5)生態工学的地形維持策のデザイン
 こうした阻害要因を改善・修復して,島の堆積を促進する方策を提案する.とくにサンゴ,有孔虫の生育促進による砂の生産量増加については,生産量見積もりのための現場・飼育実験結果に基づいて,生態工学的な修復・増産策を提案し,一部試験的に砂の生産をはじめる.
同地図上で,現状の収支で海面が上昇した場合,生態工学的改善を行った後海面が上昇した場合の2通りについて,島の堆積過程を予測し,生態工学的方策の妥当性を示す.
6)継続的なモニタリング体制の構築
定測線を設置し、現地機関と協働して継続的に測量を行って変化をモニタリングして施策の効果をモニタリングする体制を構築する。また、画像解析を共同で行うことにより、平面的な海岸線変化に関しても衛星画像を用いたモニタリング体制を構築する。

今年度の研究概要

ツバルにおいて、砂生産量推定のための海域ハビタットマップを作成する。

備考

研究代表者:茅根 創(東京大学)
相手国:ツバル共和国

課題代表者

山野 博哉

  • 生物・生態系環境研究センター
  • センター長
  • 博士(理学)
  • 地理学,地学,理学
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