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社会環境システム研究領域における研究活動(平成 20年度)
Research Activities of the Social and Environmental Systems Division

研究課題コード
0610FP012
開始/終了年度
2006~2010年
キーワード(日本語)
環境と経済,環境ビジョン・シナリオ,環境計画,交通,統合評価
キーワード(英語)
ENVIRONMENT AND ECONOMICS, ENVIRONMENTAL VISION AND SCENARIO, ENVIRONMENTAL PLANNING, TRANSPORTATION, INTEGRATED ASSESSMENT

研究の性格

  • 主たるもの:-
  • 従たるもの:

全体計画

社会環境システム研究領域では、環境と経済の統合を目指し、安全・安心・快適な社会環境(地域規模、都市規模、身近な社会環境)を創造するためのビジョンを示すとともに、それらを実現・維持するためのシナリオ・方策を提示し、持続可能な社会を構築するための具体的な政策提言に結びつく研究等を推進する。
1.研究室の構成と研究活動概要
環境経済・政策研究室、環境計画研究室、統合評価研究室、交通・都市環境研究室の研究活動概要は以下のとおりである。
■環境経済・政策研究室
環境保全の経済的側面、政策的側面、国際的側面の解析・評価に関する研究を行う。社会と環境との相互作用の解明や環境政策が経済に及ぼす影響等の政策効果分析、各国の環境政策決定過程の分析、地球環境保全のための国際協調の可能性の検討などを行う。
■環境計画研究室
環境保全に係る計画策定・評価手法の開発及びその適用に関する研究を行う。環境保全に係る地域計画や環境基本計画の作成・評価に資する研究、地域住民のライフスタイルや持続可能な消費に関する解析などを行う。
■統合評価研究室
環境保全に係わる統合評価モデルの開発に関する研究を行う。経済活動、温暖化、土地利用、リサイクル、ライフスタイルなど様々な領域の知見を取り込んだ「環境統合評価モデル」の開発と、それを活用した持続可能な社会のビジョン構築、ビジョン達成のためのシナリオ分析などを行う。
■交通・都市環境研究室
交通および都市環境問題の解決に資する研究を行う。中長期的な交通と都市に関わるシナリオの開発、フィールド調査や低公害実験施設、車載計測技術を用いた自動車の環境影響評価、大気・熱環境等の環境変化の解明、交通・都市に関する各種対策効果の予測・評価などを行う。

2.領域研究プロジェクト
 第2期中期計画において、領域研究プロジェクトとして、以下の研究プロジェクトを領域横断的に進める。
2.1 中長期を対象とした持続可能な社会シナリオの構築に関する研究
 担当:環境経済・政策研究室、環境計画研究室、他ユニット研究者
 持続可能な社会のあるべき姿(ビジョン)を描き、それを達成するための社会シナリオを作成することにより、今後の国際・国内環境政策に資することを目的とする。持続可能性を評価する指標や環境統合評価モデルを活用した分析枠組を開発し、これらを用いて中長期を対象とした持続可能な社会像を定性的、定量的に描くとともに、それを達成するための道筋や課題を、国際的な視点を踏まえて、環境及び社会経済の側面から整合的に明らかにする。
(1)持続可能性の定義と評価のための指標開発
持続可能な社会を構築するにあたり、対象となる環境問題の抽出と、評価のための個別の指標、社会全体を評価する指標の開発を行う。
(2)持続可能な世界を実現するための国際協調枠組み構築
持続可能な発展を目指した国際的活動がCSDを中心に進捗している。他方、個別環境問題を対象とした条約の下でも、関連制度が構築されつつある。本研究では、持続可能な世界を目的とした国際制度を評価し、より理想的な形態に近づくために、食料およびエネルギー安全保障、環境の変化への適応、途上国問題と我が国の対応、といった側面から問題解決を図る枠組の提示を行う。
(3)貿易と環境
世界各国のデータを活用して、これまでの貿易が環境負荷にどのような影響をもたらしているのかを検証し、持続可能な社会の構築という視点から貿易の役割、あり方について分析を行う。
(4)統合評価モデルを用いた持続可能な社会ビジョン・シナリオの定量化
既存の統合評価モデルに、サブ課題1)で整理される指標を組み入れて、複数の環境問題を対象に、サブ課題5)で示されるビジョンの持続可能性について、定量的な評価を行う。
(5)持続可能な社会のビジョン・シナリオ作成
持続可能な社会の像を描き、その実現に至る道筋を定性的に評価するとともに、定量化が可能な部分については定量的に分析する。

2.2 都市大気環境中における微小粒子・二次生成物質の影響評価と予測
 担当:交通・都市環境研究室、他ユニット研究者
車載計測や低公害実験施設を用いて、次世代自動車の実使用条件下における評価を行うとともに都市圏における観測を行い、微小粒子・二次生成汚染物質の動態を把握する。また、光化学反応チャンバー実験等をもとに、二次生成物質の予測モデルを改良して大気質予測モデルに組み込み、発生源の評価や将来の環境予測を行う。さらに、疫学的手法により、二次生成物質や自動車排気に起因する高レベル曝露の実態把握と健康影響予測を行う。
低公害実験施設や車載計測技術を用いて、次世代ディーゼル車等のリアルワールドにおける環境影響評価を行うとともに、都市圏におけるフィールド調査を行い、微小粒子・二次生成汚染物質の発生から一般環境における動態を把握する。また、フィールド調査結果やチャンバー実験をもとに光化学反応による二次生成物質の予測モデルに改良を加えて、大気質予測モデルに組み込み、発生源寄与率の解析や将来の都市大気環境の予測を行う。さらに、疫学的手法により、都市環境における二次生成汚染物質や自動車排ガスに起因する高レベル曝露の実態把握と健康影響予測を行う。

今年度の研究概要

平成20年度は、下記の諸点に留意して研究をさらに進める。
(1)環境の中長期ビジョン・シナリオに関する研究
 これまでの研究成果に基づいて、最終年度である今年度は、以下のような研究を実施し、研究成果を取りまとめる。
?持続可能性指標の枠組みを構築し、その各要素について専門家ワークショップを開催し、各分野の知見・情報を収集する。この成果をもとに、主要な持続可能性指標を提示する。?国際 環境条約データベースを用いて、各種国際環境条約の交渉過程、実効性、履行確保等の各観点からの比較及び評価を行い、国際環境協調枠組みのあり方を検討する。?環境と貿易について、貿易の自由化が環境に及ぼす影響を明らかにし、国際関係の視点から持続可能な社会の実現に向けた評価を行う。?超長期 ビジョンのバックキャスト手法に基づいて、将来像や対策の効果を明らかにする。?全所的な環境ビジョンを作成する。

(2)都市大気環境中における微小粒子・二次生成物質の影響評価と予測
 車載計測や低公害実験施設を用いて、最新ディーゼル自動車の実使用条件下における排出特性評価を継続して行うとともに、平成19年度に実施したフィールド観測データの詳細な解析を行い、二次粒子を含む微少粒子の大気動態や排出源の寄与を把握するとともに、都市大気汚染モデルシミュレーションとの比較検証を通じて、二次粒子の予測精度向上を目指す。健康影響に関する研究では、自動車排ガスの高レベル曝露の実態把握を行う。 また、最終年度であるので、3年間の研究成果を取りまとめる。

課題代表者

日引 聡

  • 社会システム領域
  • 連携研究グループ長
  • 経済学
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