ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

海洋全層に分布する独立栄養古細菌による炭素固定は、海洋における新たな巨大炭素リザーバーになりうるか?ー核実験由来放射性炭素トレーサーを用いた海洋微生物マクロコズム実験」(平成 19年度)
Possibility of large marine carbon reservoir fueled by carbon assimilating marine chemoautotroph– case study for marine organisms macrocosm experiment using natural-level radiocarbon.

予算区分
AF 奨励
研究課題コード
0708AF558
開始/終了年度
2007~2008年
キーワード(日本語)
放射性炭素
キーワード(英語)
radiocarbon

研究概要

海洋古細菌の炭素固定に関する情報を得るため、国内海洋深層水取水施設で深層水の大量ろ過を実施し、ろ過フィルター試料から古細菌由来有機分子を大量に抽出・精製し、それら分子の放射性炭素同位体比を測定する。得られた結果と同位体マスバランスモデルから、海洋古細菌の代謝情報(独立栄養or従属栄養)に関する知見を得る。近年、分子生物学的手法の進歩から、非熱水性の古細菌が海洋全層に分布しており、それらの古細菌が光合成非依存の化学合成独立栄養を高い活性で行っていることが遺伝子的(定性的)に示唆されるようになった。本研究では、これら海洋古細菌の代謝特性を地球化学的手法で定量的に明らかにすることを目標とする。ここで得られる知見は、微生物による海洋炭素循環の定量的解明に資する手法開発であることから、将来的には海洋の新しい微生物ループに関する定量的知見を提供することが期待される。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

2007年度後期
1.大量海水ろ過システムの製作と国内海洋深層水取水施設でのろ過試験の実施
古細菌(大きさ平均0.5-0.2µm)細胞膜由来テトラエーテル脂質(GTGTs)の放射性炭素を測定するために必要な海水量は10万?20万Lと試算される。深層海水中の古細菌を補足するため、0.2-0.5µmサイズフラクションを効率的に大量ろ過できる装置を製作する。静岡県駿河湾深層水取水供給施設(24m, 397m, 687m)または、沖縄県久米島深層水取水供給施設(15m, 612m)において、本システムの大量ろ過試験並びに実試料のサンプリングを実施する。最終的なろ過量の目標は、1深度あたり、40-50万Lとする。
2.古細菌脂質(GDGTs(分子量ca.1,300))の抽出・同定・定量
ろ過済0.2 µmメンブレンフィルターに回収された古細菌細胞をタンパク質を特異的に分解する酵素を用いて分解し、その後溶媒抽出(ソックスレー抽出等)によりGDGTsを含むフラクションを得た後、GDGTsをLC/MSで同定・定量する。GDGTsのLC/MSでの分析について、GDGTsを発見した王立オランダ海洋研究所のDr.Schoutenらと国外約10のラボが参加するインターキャリブレーションを今秋中に行う。この結果は、来年米国物理学連合(AGU)発行の雑誌にて発表予定。
2008年度前期
3.放射性炭素測定のための古細菌脂質の大量抽出・濃縮・精製の分析法の確立
表層海水中GDGT濃度は、数十〜数百pg/Lと報告されている。放射性炭素測定には、極微量分析法を最大限利用しても数十µg 炭素のGDGTsが必要とされる。上記2.で抽出されたGDGTsは、他の様々な有機分子との混雑物であることから、GDGTsのみをLC/MSを用いて分取する必要がある。また分取されたGDGTs画分の純度の検定も必要であり、2008年度はこれらの実験に全力で取り組む。
 以上の実験から、海洋全層に分布する非熱水性古細菌の炭素固定(代謝情報)の有無とその割合を知るためのサンプリング方法の開発、分析化学的検討を行うことができる。


今年度の研究概要

海洋古細菌の炭素固定に関する情報を得るため、国内海洋深層水取水施設で深層水の大量ろ過を実施し、ろ過フィルター試料から古細菌由来有機分子を大量に抽出・精製し、それら分子の放射性炭素同位体比を測定する。得られた結果と同位体マスバランスモデルから、海洋古細菌の代謝情報(独立栄養or従属栄養)に関する知見を得る。近年、分子生物学的手法の進歩から、非熱水性の古細菌が海洋全層に分布しており、それらの古細菌が光合成非依存の化学合成独立栄養を高い活性で行っていることが遺伝子的(定性的)に示唆されるようになった。本研究では、これら海洋古細菌の代謝特性を地球化学的手法で定量的に明らかにすることを目標とする。ここで得られる知見は、微生物による海洋炭素循環の定量的解明に資する手法開発であることから、将来的には海洋の新しい微生物ループに関する定量的知見を提供することが期待される。

関連する研究課題
  • 0 : 化学環境研究領域P

課題代表者

内田 昌男

  • 環境計測研究センター
    動態化学研究室
  • 主任研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,地学,理学
portrait