ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

東京湾小櫃川河口干潟における塩湿地植生(平成 19年度)
Salt marsh vegetation in Obitsu river estuarines, Tokyo Bay.

予算区分
AE 経常
研究課題コード
0610AE548
開始/終了年度
2006~2010年
キーワード(日本語)
塩湿地,塩性植物,帯状分布,感潮域
キーワード(英語)
SALT MARSH, HALOPHYTES, ZONATIO, ESTUALY

研究概要

千葉県小櫃川河口には約30haの東京湾最大の塩湿地が広がり、アイアシやヨシ等の湿性高茎草本が優占している。本植生に関する初の本格的調査である延原ら(1980)の報告と比較してハママツナやウラギク、シオクグ等が分布を大きく減らしている現状である。同時に塩湿地の形状や面積も大きく変化している。河口塩湿地は本来適度な撹乱によって維持される特殊性の高い生態系であり、これらの草本群落や生育地にみられる変化は本生態系の現状を顕著にあらわしていると推測される。塩湿地には潮汐という明確な環境傾度がみられる一方で、各種の成育に関する環境要因同士が複雑に関与しあっているために長期的な観測の必要性があることを既に石塚(1977)が指摘している。我々の研究グループは1999年以降干潟生態系に関する研究(矢部ら、2002)や微生物機能からみた干潟評価(広木ら、2003a,b)、マクロベントス相からみた干潟評価(古賀ら、2005)を報告した。2001年以降は塩湿地植生を対象として、全域植生調査や操作実験、水位変動や土壌構造といった物理性調査、底質や間隙水の化学分析、過去と現在の航空写真解析、を通じて、(1)河口塩湿地全域の植生分布と植生変遷(金子ら、2005)、(2)塩湿地における人里植物の侵入(金子ら、投稿中)、(3)塩湿地植生におけるHSIモデル、(4)フェノロジーや形態変化にみられた種の適応、(5)洪水や覆土といった短期的撹乱を想定した植生操作実験、(6)塩湿地植物群落の遷移課程と周辺土地利用や河口堰の運用による長期的な影響、といった課題について取り組んでいる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

1:小櫃川河口塩湿地における植生分布とその決定要因.
小櫃川河口塩湿地の限られた狭い地域に種が豊富で、地形と植生分布がはっきりしており、環境傾度が明瞭であると思われる中洲において、潮汐の影響を常に受け続けながらも群落を形成する塩湿地性植物群落に注目して研究を進める。特に各種の分布中心におけるバイオマスやフェノロジーに関する調査を行う。
2:小櫃川河口塩湿地における植生復元の試み.
塩湿地における一年生希少種ハママツナと多年生希少種シオクグの生息地復元に関する研究では、数年ぶりに回復しつつある一年草ハママツナと撹乱の処理によって回復度合いに差がみられた多年草シオクグの各実験区におけるモニタリングを継続する。
 また、各環境傾度に注目した成育実験を実験圃場及び野外実験において行う。加えて航空写真により中洲形成時から現在までの変遷を辿り、撹乱による遷移状況の違いを評価する。最終年度には、撹乱によって遷移が後退し維持される湿地生態系の特殊性を踏まえた塩湿地植生の保全や復元手法について提言を行う予定である。

今年度の研究概要

1:小櫃川河口塩湿地における植生分布とその決定要因.
同程度の比高環境にパッチ状に存在する優占種数種を用い、それぞれの生物季節性から各種の競争関係を明らかにする。
2:小櫃川河口塩湿地における植生復元の試み.
中洲において希少種ハママツナの 1) 個体群動態定点調査、2) 植生帯が破壊されるような撹乱を想定した刈り取り、抜根処理による植生帯の回復実験の事後追跡調査を行う。

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動(生物圏環境研究領域)

課題代表者

矢部 徹

  • 生物・生態系環境研究センター
    生態系機能評価研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 生物学
portrait