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アジア産ヒラタクワガタにおける形態形質変異の遺伝的基盤および種分化機構の解明(平成 18年度)
Investigation for genetic base of morphological variation and mechanism of speciation

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0608CD551
開始/終了年度
2006~2008年
キーワード(日本語)
クワガタムシ,種分化,分子系統,侵入生物
キーワード(英語)
STAG BEETLE, SPECIATION, MOLECULAR PHYLOGENY, INVASIVE ALIEN SPECIES

研究概要

日本およびアジア各地に生息するヒラタクワガタ地域系統の分子系統関係、系統間の生殖隔離の程度および機構、および形態形質変異の遺伝的基盤を明らかにし、ヒラタクワガタの遺伝的多様性および種分化プロセスの解明を目指す。ヒラタクワガタの核遺伝子DNA変異を調べて系統解析を行い、従来のミトコンドリアDNA系統解析結果と照らし合わせて、地域集団間の系統関係を明らかにするとともに交雑実験により系統間の生殖隔離の程度を調べる。次に各系統の交尾器における形態変異の大きさを解析し、交配前生殖隔離の程度との関係を調べる。また、各系統共生微生物感染状況を調べ、生殖隔離との関係を調べる。さらに成虫の非交尾器形態に見られる変異について、交雑で得られた雑種の形態も含めて様々な系統について幾何学的測定を行い、形態測定学的手法を用いて定量評価を行うとともに、形質を支配する遺伝子座の数についての情報を量的遺伝学的に推定にする。以上の実験より、ヒラタクワガタの分子系統解析結果に生殖隔離発達レベル、細胞内共生微生物の関与および形態形質変異のデータを加味することで、ヒラタクワガタの種分化プロセスを総合的に解析する。得られた成果は外国産ヒラタクワガタによる在来種に対する交雑リスク評価の基礎データとする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

18年度:ヒラタクワガタ分子系統解析のためのプライマー設計を行う。系統間交雑実験を行う。交尾器形態形質変異の測定を行う。染色体構造の分析を行う。体内共生菌の多様性を調べる
19年度:ヒラタクワガタの分子系統解析を行う。交雑実験より得られた雑種の成長率・形態形質変異を測定する。交尾器形態形質とそれ以外の形質変異の相関を調べる。染色体変異を明らかにする。Wolbachiaの感染状況を調べる
20年度:系統解析より種分化プロセスを解明する。系統間交雑和合性を明らかにする。交尾器形質変異・染色体変異・体内共生菌と交雑和合性の相関を調べる。

今年度の研究概要

(1)ヒラタクワガタの分子系統解析:DNAデータバンクおよび文献情報より核DNAの特定遺伝子領域を増幅するためのプライマーを設計し、PCR法によりヒラタクワガタのトータルDNAサンプルを鋳型として、特定遺伝子領域の増幅を行う。増幅が認められたDNA断片の塩基配列をオートシークエンサーにより解析し、変異が認められた領域をマーカー遺伝子とする。(2)ヒラタクワガタ系統間の交雑実験:ヒラタクワガタ各地域系統飼育サンプルを用いて、現有の飼育実験室において交雑実験を行う。交雑で得られた卵は、数、ふ化率、成長率、性比等の生活史形質や繁殖形質の記録をとりながら幼虫から成虫に至るまで飼育し、雑種個体の生存、および繁殖可能性について検証する。(3)ヒラタクワガタの外部形態および交尾器形態の解析:ヒラタクワガタ成虫サンプルについて、体各パーツの画像をデジタルカメラで取り込み、画像解析ソフトを利用し、形態標識点の数値化を行う。数値化された輪郭データを2次元空間に投影後、楕円フーリエ記述子を用いて近似する。算出されたフーリエ係数に対して標準化を行った後、主成分分析や正準変量分析等の多変量解析法を用いることで、各パーツで見られる種間の形態的距離の定量化、および種の判別率を計算する。(4)ヒラタクワガタ各種に見られる染色体構造の解析:ヒラタクワガタ各種の受精卵から取り出した胚を用いて、Cバンド分染法による染色体構造の解析を行い、染色体数と動原体位置、クロマチン構造について記載する。また種間交雑により生じた卵について姉妹染色分体の挙動を観察し、交雑による妊性の低下の有無を検討する。(5)ヒラタクワガタ細胞内共生微生物の検出:系統解析に用いたヒラタクワガタ地域系統の全DNAサンプルについて、細胞内共生微生物の感染を探索する。既に公表されている細菌の16S rDNA 遺伝子に特異的なプライマーや、各共生細菌種に特異的な遺伝子を標的としたプライマーを用いてDNAサンプルごとにPCRを行う。細菌の遺伝子が増幅された場合には、それらの遺伝子の配列を決定し、細菌種を特定する。ボルバキアが感染している場合には、ボルバキア系統の特定も行う。さらに、得られた塩基配列に基づくヒタラクワガタの共生細菌に特異的なプライマーを設計し、サンプルDNAについてPCRにより遺伝子の増幅が見られた場合を感染と判定する診断PCR法を確立する。

課題代表者

五箇 公一

  • 生物・生態系環境研究センター
    生態リスク評価・対策研究室
  • 室長
  • 農学博士
  • 生物学,農学,化学
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担当者

  • 立田 晴記
  • 今藤 夏子生物・生態系環境研究センター
  • 国武 陽子