脱炭素・持続社会研究プログラム

2022.7.5

研究概要

「持続可能な脱炭素社会」の実現に向けて、世界が動きだしています。本研究プログラムでは、2021~2025年度の5年間で、持続可能な脱炭素社会を実現するための長期的な要件を地球規模で明らかにするとともに、アジアを中心とした国レベルで必要となる取り組みや制度を明らかにして、中長期的なロードマップとして取りまとめます。その上で、現代世代と将来世代との間の衡平性の観点も取り入れながら、私たちが実現すべき社会のビジョンや理念を提示します。

プログラムリーダー 増井利彦 研究計画とメンバー表はこちら

【お知らせ】国立環境研究所ニュース 41巻2号「特集 脱炭素社会に向けて大きく舵を切った世界」(2022年6月発行)において、本プログラムを紹介しています。
脱炭素・持続社会研究プログラム、始動(増井利彦)
地球規模の脱炭素と持続可能性の同時達成に向けて(脱炭素・持続社会プロジェクト1の取り組み)(高橋潔)

脱炭素・持続社会研究プログラムの3つの課題

課題1:地球規模の脱炭素と持続可能性の同時達成
課題2:国を対象とした脱炭素・持続社会シナリオの定量化
課題3:持続社会における将来世代考慮レジームの構築
 各課題は、それぞれのプロジェクト(PJ1~3)が担当します。

課題1:地球規模の脱炭素と持続可能性の同時達成

この課題では、地球規模での脱炭素と持続可能性の同時実現に向けた政策や対策の評価を行います。温室効果ガスや短寿命気候強制因子の排出シナリオおよび大幅削減策による経済活動への影響を、地球規模で定量的に評価するほか、複数の温室効果ガス排出シナリオ下での気候影響と不公平性について明らかにします。また、「地球-人間システムモデル」を開発し、気候・炭素循環と人間活動の相互作用を分析するとともに、地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)について理解を深めます。

プロジェクトリーダー 高橋潔  研究計画とメンバー表はこちら

課題2:国を対象とした脱炭素・持続社会シナリオの定量化

この課題では、「2050年までの脱炭素社会」の実現に向けて、日本など国レベルのロードマップを明らかにするため、エネルギーや土地利用、廃棄物、生産プロセスなど温室効果ガス排出に関わる取り組みについて供給・需要の両面から調査し、技術導入の検討やコスト面の評価も行いながら、社会課題についても解決できるロードマップの定量化に取り組みます。分析結果は政策決定者らにも開示するなどし、社会システムの変換に向けて社会にも働き掛けます。

プロジェクトリーダー  増井利彦   研究計画とメンバー表はこちら

課題3: 持続社会における将来世代考慮レジームの構築

現世代が排出した温室効果ガスによる気候変動の悪影響を受けるのは将来世代であることから、この課題では、現世代は将来世代に配慮する責任があるとする「世代間衡平性」の概念を整理しながら、ポストSDGsの構築や包括的富をはじめとする持続可能性指標の再検討を行っていきます。世代間の考え方の違いと共通点などについての調査も進め、世代間の意見の違いを尊重しつつ意思決定するための方法を検討します。

プロジェクトリーダー 田崎智宏
   研究計画とメンバー表はこちら

PJ3プロジェクトメンバーによるWeb連載コラム「将来世代への責任をどう考える? ~環境研究者の向き合い方~」も公開しています。