緩和策以外にも、注目すべき議題はあります。主なものを挙げます。
資金 今年新たに加わったのが、気候資金に関する作業計画です。昨年のCMA7で設置が決まった2年間の作業計画で、先進国による資金提供義務を定めたパリ協定9条1項を正面から扱います。このほか、資金の流れ全体を低排出で気候に強靱な発展と整合させるという2条1項(c)について「ヴェレダス対話」の報告が、長期気候資金については年1,000億ドル目標の進捗報告が議論されます。緑の気候基金、地球環境ファシリティ、損失と損害対応基金への指針も、定例の議題です。さらに、10月下旬、アフリカ交渉グループ(AGN、議長国ガーナ)の提案で、適応資金の3倍化を扱う議題がCMA8に加わりました。昨年のCOP30決定のパラグラフ53の実施を正面から議題にするものです。適応資金の3倍化自体は昨年合意されていますが、2026年6月の補助機関会合では、これを適応に関する世界全体の目標(GGA)の成果文書に書き込むかどうかをめぐって、先進国側が反対し、結論が出ませんでした。今回の提案は、独立した議題として立てることを求めるものです。
公正な移行 UAE公正な移行作業計画は、CMA8で有効性を見直したうえで継続を検討します。昨年のCMA7で創設が決まった「公正な移行メカニズム」の具体化の手順も議論されます。緩和作業計画と同じく、続けるかどうかを決める年にあたります。
パリ協定6条(カーボンクレジット) 6条2項(協力的アプローチ)は、国同士が排出削減の成果を移転する仕組みで、日本の二国間クレジット制度(JCM)もここに位置づけられます。事務局の年次報告が審議されるほか、登録簿などのインフラや審査を支える資金をどう安定的に確保するかが、別の議題として立てられています。6条4項(パリ協定クレジットメカニズム)については監督機関の年次報告と勧告の採択が、6条8項(非市場アプローチ)については作業計画の見直しが議題です。
適応 適応に関する世界全体の目標(GGA)は、昨年のCMA7で採択されたベレン適応指標の実装段階に入っています。6月の補助機関会合で結論が出ず、今回に持ち越されました。
食 補助機関の暫定議題に、「持続可能な食習慣の推進、動物性食品中心の食生活の削減、植物性食への移行」という新しい議題が加わりました。6月にコモロが提案したものです。また、COP27で始まった農業と食料安全保障に関する共同作業も、COP31で成果を報告することになっています。
貿易 ガーナ(AGN)の提案で、貿易と気候変動に関する対話がCMA8、SBSTA65、SBI65の3つの会議体の暫定議題に加わりました。COP30決定のパラグラフ57に基づく対話を、正式な議題として扱うよう求めるものです。貿易措置をめぐる対立は長く続いており、COP30では議長国ブラジルが議題の下で行われる交渉から切り離して、2026年から2028年にかけてボンで3回の対話を開く形に収めました。それを議題に戻そうという動きです。
山岳 キルギス(山岳グループ)の提案により、COP31の暫定議題18に加わりました。山岳と気候変動に関する対話を補助機関会合の常設の年次議題とし、その成果をCOPに報告する、という内容です。この対話は、COP30が設置を決めたもので、今年6月の補助機関会合で初めて開かれ、年次化の要否を含む要約報告書が10月20日に公表され、キルギスが暫定議題の追加を提案したのはその翌日です。山岳地域の脆弱性は、別の場でも表に出ています。8月、山岳国ネパールのランタン・リルン峰で氷と岩が崩落し、土石流となって下流を襲いました。10月22日、この災害に対し、損失と損害対応基金は、特定の災害を対象に初めて支援枠を暫定的に確保することを決めました。実際の支援は、正式な審査を経て決まります。
6月にコモロが提案した「食」とあわせ、締約国の提案で加わった論点は4点、議題としては7つになりました。開会日の議題採択の手続では異論が出ることも少なくありません。まずは、これらが採択されるかに注目しましょう。