気候変動COP31の歩き方:暫定議題から読む会議の規模感と注目論点

執筆:久保田 泉(社会システム領域 主幹研究員)
2026.11.2

 2026年11月9日から20日まで、トルコのアンタルヤで気候変動枠組条約第31回締約国会議(COP31)が開かれます。開幕前の今、暫定議題を手がかりに、この会議について考えてみます。

 近年、「気候変動のCOPって、いくつぐらいのグループに分かれて話し合うのですか」という質問をよく受けますが、きちんと答えたことがなかったように思います。数自体に意味はなく、数えるのも大変で、数え方によっても答えが異なるからなのですが、今回は、その質問にも答えてみたいと思います。

※本稿は、2026年9月7日付で公表された暫定議題と、10月下旬に公表された補足暫定議題に基づいています。議題は会議初日に採択されるまで確定しません。

この記事のポイント

  • アンタルヤでは、COP、CMP、CMAの3つの締約国会議と、SBSTA、SBIの2つの補助機関会合が会期中(2週間)に開かれます。議題の数は、議題の番号で数えれば98、小項目を含めて数えれば162です。数そのものに意味があるわけではありませんが、気候変動COPの規模感と、どのような議題が多いのかを知る手がかりにはなります。
  • 今回、緩和策(排出削減)に関わる議題は5件しかありません。工業化前と比べた地球の平均気温の上昇が1.5℃を超えることが避けられない中で、オーバーシュートについてどこで議論するのかが定まっていません。
  • その他、今年から議題に加わった気候資金に関する作業計画(パリ協定9条1項関連)、パリ協定6条(カーボンクレジット)、適応、そして「食」の新議題(コモロ提案)なども注目されます。

1. COP31は5つの会議体の集合体

 ひとくちに「COP31」と言いますが、3つの締約国会議と、2つの補助機関会合が開かれます。

 アンタルヤで開かれるのは、次の5つです。
• 気候変動枠組条約 第31回締約国会議(COP31)
• 京都議定書 第21回締約国会合(CMP21)
• パリ協定 第8回締約国会合(CMA8)
• 第65回科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合(SBSTA65)
• 第65回実施に関する補助機関会合(SBI65)

 京都議定書とパリ協定は、気候変動枠組条約の締約国会議がそれぞれの締約国の会合を「兼ねる」と定めています(京都議定書13条、パリ協定16条)。概ね共通する締約国等が参加する会議が、気候変動枠組条約、京都議定書、パリ協定という3つの看板をかけかえながら会合を開きます。「兼ねる」と書いてあるのに、会合を分けるのは、合意形成に参加できるのは締約国だけで、気候変動枠組条約、京都議定書、パリ協定では締約国が異なるからです。たとえば、2012年に京都議定書から脱退したカナダは、COPとCMAでは締約国として参加しますが、CMPではオブザーバーの立場になります。補助機関についても同様の規定があります(京都議定書15条、パリ協定18条)。

 2つの補助機関会合は、会期前半に開かれます。事務レベルの交渉の多くはここで進み、まとまった決定案がCOP31などに報告されます。

 COP31の特徴のひとつは、議長の職務が2カ国に分かれることです。COP31議長はトルコのムラト・クルム環境・都市化・気候変動大臣が務め、CMP21とCMA8の議長も兼ねることになります。その上で、議長(現段階では指名者)は、オーストラリアのクリス・ボーエン気候変動・エネルギー大臣を交渉議長(President of Negotiations)に指名し、会期を通じて交渉を率いる職務を委ねています。両国の分担は、別途の取り決めに定められていますⅰ。COPの議長の職務を2カ国で分けるのは初めてのことで、どちらがどこまでを決めるのかについては、まだ見えていない部分があります。暫定議題の交渉をとりまとめるのは、交渉議長の役割です。

2. 議題はいくつあるのか

 今回、気候変動COPの議題はいくつあるかを数えてみようと思ったのは、会議の規模感をざっくりと知っていただくことには意味があると思ったからです。10個ほどの事柄を話し合っている会議だと思っているのと、100を超える議題が並んでいることを知っているのとでは、会議の見え方が違ってくるのではないでしょうか。

 気候変動枠組条約事務局は、会議のおよそ2カ月前に、各会議の暫定議題と注釈(annotations)を公表します。議題の一覧に、それぞれの経緯と、今会期で何をすることになっているかが添えられた文書です。COP31会期の5つの会議体の分は、いずれも2026年9月7日付で公表されました。さらに、10月下旬、締約国の提案を受けて、CMP21を除く4つの会議体について、補足暫定議題が公表されていますⅱ。

 COP31を例にとってみましょう。COP31の暫定議題は、1から21まで並んでいます。では、COP31の議題の数は21なのか、というと、そうではありません。たとえば、COP31議題8(資金に関する事項)を見てみると、長期気候資金、資金常設委員会、緑の気候基金、地球環境ファシリティ、損失と損害対応基金、資金メカニズムの第7回レビューという6つの小項目に分かれています。小項目のひとつについてコンタクトグループ(交渉のための非公式小グループ)が立つこともあり、交渉の単位としては小項目のほうが実態に近いことも少なくありません。一方、議題20は「その他の事項」の1行だけです。

 そこで、議題の番号だけを数えた場合と、小項目まで数えた場合の両方で数えてみました。小項目を持つ議題番号については小項目の数を、小項目のない議題番号については1件として数えています。

 なお、2年前のCOP29会期についても同じように数えたことがあり、そのときは議題番号93件、小項目を含めて167件でしたⅲ。

 ただし、小項目の数がそのまま交渉の数を表すわけでもないことにも注意する必要があります。小項目の中には、議長以外の役員の選出のように、本会議で短時間に処理される事項も1件として数えられているものもあります。小項目を含めた162という数字は、交渉の単位に近づけた数え方の結果であって、162のグループが立てられて交渉が行われるということを意味しません。

 さらに、似た議題が複数の会議体に重複しています。たとえば、「対応措置の実施の影響に関するフォーラム」は、5つの会議体すべての議題に入っています。気候変動対策そのものではなく、対策をとったことで生じる影響を議論する場で、条約・議定書・協定のいずれにも関わるため、単一のフォーラムを置いたうえで、5つの会議体それぞれが決定を出す建て付けです。損失と損害に関するワルシャワ国際メカニズムは4つ、適応委員会の報告も4つにまたがります。

3. どんな議題があるのか

 162の小項目をテーマごとに分類してみました(図1)。分類は筆者が独自に行ったもので、公式のものではありません。

 最も多いのは手続・運営で52件、全体の32%を占め、議題の採択、役員の選出、作業の進め方、信任状の確認、開会と閉会などが含まれます。これらを5つの会議体がそれぞれ別々に行うため、それだけで52件になります。そのうち24件は、議題採択や役員選出といった会期運営に関するものです。

 次いで、資金17件、透明性・報告14件、技術・能力構築14件、適応13件と続きます。

 なお、ここまでの件数は小項目を含めた数え方によるものです。議題番号の単位で数え直すと、資金は17件が5件に、適応は13件が4件になります。大きな議題の下で枝分かれしているためです。一方、分野別その他、対応措置、損失と損害、公正な移行は数が変わりません。それぞれ独立した議題として立てられているからです。

 図1でもう一つ目を引くのは、緩和策の野心(気候変動対策、特に温室効果ガスの排出削減目標をどこまで高めるかという水準)を扱う議題が小項目で数えても5件しかなく、資金の17件、適応の13件と比べると少ないことです。

 問題は、議題の数の少なさだけではありません。1.5℃の超過が避けられなくなったことで、緩和策について議論すべきことも変わってきているのに、議題の立て方が必ずしもそれに対応していないことです。まず、1.5℃目標をめぐって近年何が起きているのかから見ていきます。

4. 1.5℃目標は「超えるべきでない水準」から「戻るべきライン」へ

(1) オーバーシュートとは

 オーバーシュート(超過)とは、工業化前と比べた世界の平均気温の上昇がいったん1.5℃を上回った後に、排出を大きく減らして1.5℃以下に戻す経路のことです(図2)。

 緑の線が、1.5℃を一度も超えない経路です。オレンジの線が、いったん超えてから、あとで戻す経路です。1.5℃をどれだけ超えるかが「規模」(magnitude)、超えている長さが「期間」(duration)にあたります。IPCC第6次評価報告書統合報告書は、この規模によって超過を2つに分けています。1.5℃からの超過が0.1℃までのものを限定的なオーバーシュート、0.1〜0.3℃までのものを高いオーバーシュートと呼び、いずれも超過が数十年続く場合を指しますⅳ。

 同報告書は、2100年までに1.5℃に抑える(確率50%超)経路のうち、一時的にも超えないものは、ごく一部の最も野心的な経路に限られると整理しています(政策決定者向け要約B.7.1)。

 国連環境計画が2026年9月に公表した報告書Limiting Overshoot: Navigating exceedance of 1.5°C and pathways towards returnは、現在の排出経路と政策の下では、工業化前と比べて地球平均気温上昇が1.5℃を上回ることは避けられないとしています。2025年までの排出量を反映した最も野心的な経路でも、ピーク時は50%の確率で1.6〜1.8℃と見込まれ、これが約1.8℃を超えると、今世紀中に1.5℃へ戻すことは難しくなるとされています。そのうえで同報告書は、避けられない超過は対策の水準を下げる理由にはならず、むしろ行動の緊急性を高めること、一時的な超過であっても深刻で、しばしば不可逆な影響をもたらすことを強調していますⅴ。

 いったん1.5℃を超えた地球の平均気温を下げることも、簡単なことではありません。1.5℃を超えた後に再び下げるには、世界全体で正味のマイナス排出(ネットネガティブ)を達成し、それを続ける必要があります。同報告書の試算では、年間100億トン(現在のCO2排出量の約4分の1にあたります)の正味のマイナス排出を実現できたとしても、気温が下がる速さは10年で約0.05℃にとどまります。現在の温暖化は、10年あたり約0.25℃の速さで進んでいるので、10年分の温暖化を戻すには約50年かかってしまう計算です。超過が大きいほど、戻すのに必要なマイナス排出も大きくなります。

 この解説記事では、この問題を議論する場があるのかという、制度の側を扱っています。超過を戻すために必要なCO2除去の規模や、それを長期間続けるための制度設計と費用分担、そして超過の期間中に失われるもののうち元に戻らないものについては、江守正多さんによる論考ⅵがあります。

(2) それでも1.5℃は主たる目標であり続ける

 それでは、1.5℃という目標は、これで意味を失ってしまうのでしょうか。そうではありません。気候変動に関する国家の義務についての国際司法裁判所(ICJ)勧告的意見(2025年7月)は、CMA3(2021年)とCMA5(2023年)の決定を、パリ協定の解釈に関する締約国間の後の合意(条約の締結後に、締約国が解釈について合意したもの。条約法条約31条3項(a))と位置づけたうえで、1.5℃が締約国の合意した主要な気温目標になったと述べていますⅶ。

 変わるのは、目標の機能の方です。パリ協定の文言では、2℃を十分下回る水準に抑えることが目標とされ、1.5℃については抑える努力を追求するとされています(2条1項(a))。2℃が主、1.5℃が従という扱いでした。それが2018年のIPCC「1.5℃特別報告書」によって、1.5℃上昇と2℃上昇とでは生じる影響に相当程度の違いがあることが認識され、ICJ勧告的意見にもあるように、CMA3とCMA5の決定を経て、事実上、1.5℃が主たる目標になりました。交渉の場では、1.5℃は「超えるべきでない水準」として語られてきました。超過が避けられないのであれば、今後は、どれだけの幅で、どれだけの期間超えるのか、そしてどう戻るのかを測る基準、いわば「戻るべきライン」として働くことになります。

 昨年のCOP30決定(グローバル・ムチラオ決定)は、1.5℃に抑える努力を追求するとともに、あらゆる気温超過の規模と期間の両方を抑える決意を改めて表明しました。今回のプレCOPのタク・パカソア宣言も、深く急速で持続的な排出削減が、超過の規模と期間を最小化するために必要だと述べていますⅷ。ただし、いずれも決意や必要性の表明であって、どう抑えるかについて具体的な手続や枠組みが定まっているわけではありません。

(3) しかし、議論の場が見当たらない

 では、このオーバーシュートについては、COP31のどこで議論されるのでしょうか。暫定議題を見ると、心許ない状況です。

 162の小項目のうち、排出削減の野心に関わる議題は5件です。ただし、論点としては3つしかありません。シャルム・エル・シェイク緩和野心・実施作業計画が、CMA8、SBSTA65、SBI65の3つの会議体に議題として載っているため3件と数えられており、残る2件が、国別削減目標(NDC)の特徴に関する更なる指針と、グローバル・ストックテイク(GST)年次対話に関する報告です。

 そのうえ、緩和作業計画と年次GST対話は、緩和策の中身というより、議論の場そのものを続けるかどうかを話し合うことになっています。緩和作業計画は、CMA8で継続の可否を決めることになっています。年次GST対話は、昨年のCMA7の決定により、今年6月の補助機関会合をもって終了し、再開するかどうかは第2回グローバル・ストックテイクの成果を検討する文脈で扱われることになりました。残るNDCの特徴についても、CMA1(2018年)以来、議論が持ち越されています。

 まとまった議論の機会としては、第2回グローバル・ストックテイクがあります。パリ協定14条2項は、第1回を2023年に実施し、その後5年ごとに実施すると定めているので、次は2028年です。ただし、同項には「締約国会合が別段の決定をする場合はこの限りでない」という但し書きが付されていて、時期は動かせないわけではありません。

 この時期の問題は、科学側の事情とも絡んでいます。グローバル・ストックテイクは、最良の利用可能な科学に照らして行うこととされており(パリ協定14条1項)、この「最良の利用可能な科学」の代表例がIPCCの評価報告書です。

 ところが、2026年10月12日から16日までアディスアベバ(エチオピア)で開かれたIPCC第65回総会は、第7次評価報告書(AR7)の3つの作業部会報告書の提出スケジュール(3つの作業部会報告書を2028年中に揃えて第2回グローバル・ストックテイクに間に合わせるか、2029年までかけるかが主な争点になっています。)と、IPCCの予算について合意できないまま、スキー議長によって中断されましたⅸ。会議が予定時間を超過し、後発開発途上国や小島嶼開発途上国の代表団の多くが退出せざるを得なくなったため、コンセンサスによる意思決定の包摂性を保つという理由で中断されたものです。AR7のスケジュールをめぐる対立は、2023年7月にこのサイクルが始まって以来続いています。IPCCは、COP31閉幕後の2026年12月1日から3日に、IPCC第65回総会再開会合(残る議題の審議)をオンラインで開催すると公表しました。

5. その他の議題:資金、公正な移行、カーボンクレジット、適応、食

 緩和策以外にも、注目すべき議題はあります。主なものを挙げます。

資金 今年新たに加わったのが、気候資金に関する作業計画です。昨年のCMA7で設置が決まった2年間の作業計画で、先進国による資金提供義務を定めたパリ協定9条1項を正面から扱います。このほか、資金の流れ全体を低排出で気候に強靱な発展と整合させるという2条1項(c)について「ヴェレダス対話」の報告が、長期気候資金については年1,000億ドル目標の進捗報告が議論されます。緑の気候基金、地球環境ファシリティ、損失と損害対応基金への指針も、定例の議題です。さらに、10月下旬、アフリカ交渉グループ(AGN、議長国ガーナ)の提案で、適応資金の3倍化を扱う議題がCMA8に加わりました。昨年のCOP30決定のパラグラフ53の実施を正面から議題にするものです。適応資金の3倍化自体は昨年合意されていますが、2026年6月の補助機関会合では、これを適応に関する世界全体の目標(GGA)の成果文書に書き込むかどうかをめぐって、先進国側が反対し、結論が出ませんでした。今回の提案は、独立した議題として立てることを求めるものです。

公正な移行 UAE公正な移行作業計画は、CMA8で有効性を見直したうえで継続を検討します。昨年のCMA7で創設が決まった「公正な移行メカニズム」の具体化の手順も議論されます。緩和作業計画と同じく、続けるかどうかを決める年にあたります。

パリ協定6条(カーボンクレジット) 6条2項(協力的アプローチ)は、国同士が排出削減の成果を移転する仕組みで、日本の二国間クレジット制度(JCM)もここに位置づけられます。事務局の年次報告が審議されるほか、登録簿などのインフラや審査を支える資金をどう安定的に確保するかが、別の議題として立てられています。6条4項(パリ協定クレジットメカニズム)については監督機関の年次報告と勧告の採択が、6条8項(非市場アプローチ)については作業計画の見直しが議題です。

適応 適応に関する世界全体の目標(GGA)は、昨年のCMA7で採択されたベレン適応指標の実装段階に入っています。6月の補助機関会合で結論が出ず、今回に持ち越されました。

食 補助機関の暫定議題に、「持続可能な食習慣の推進、動物性食品中心の食生活の削減、植物性食への移行」という新しい議題が加わりました。6月にコモロが提案したものです。また、COP27で始まった農業と食料安全保障に関する共同作業も、COP31で成果を報告することになっています。

貿易 ガーナ(AGN)の提案で、貿易と気候変動に関する対話がCMA8、SBSTA65、SBI65の3つの会議体の暫定議題に加わりました。COP30決定のパラグラフ57に基づく対話を、正式な議題として扱うよう求めるものです。貿易措置をめぐる対立は長く続いており、COP30では議長国ブラジルが議題の下で行われる交渉から切り離して、2026年から2028年にかけてボンで3回の対話を開く形に収めました。それを議題に戻そうという動きです。

山岳 キルギス(山岳グループ)の提案により、COP31の暫定議題18に加わりました。山岳と気候変動に関する対話を補助機関会合の常設の年次議題とし、その成果をCOPに報告する、という内容です。この対話は、COP30が設置を決めたもので、今年6月の補助機関会合で初めて開かれ、年次化の要否を含む要約報告書が10月20日に公表され、キルギスが暫定議題の追加を提案したのはその翌日です。山岳地域の脆弱性は、別の場でも表に出ています。8月、山岳国ネパールのランタン・リルン峰で氷と岩が崩落し、土石流となって下流を襲いました。10月22日、この災害に対し、損失と損害対応基金は、特定の災害を対象に初めて支援枠を暫定的に確保することを決めました。実際の支援は、正式な審査を経て決まります。

 6月にコモロが提案した「食」とあわせ、締約国の提案で加わった論点は4点、議題としては7つになりました。開会日の議題採択の手続では異論が出ることも少なくありません。まずは、これらが採択されるかに注目しましょう。

6. おわりに

 冒頭の質問に戻ります。会議体は5つあります。議題は、議題の番号で数えれば98、小項目を含めて数えれば162。そのうち3分の1ほどは、手続事項です。

 COP29の解説コラムで、私は、議題の数が「多すぎます」と書きました。巨大な会議になることの最大の問題は、人数の少ない政府代表団(その多くは途上国です)にとって対応が難しくなることです。すべての議題に担当交渉官を出せる国と、そうでない国との間に意思決定に参加できる度合いの差が生まれてしまうことになります。

 工業化前と比べた地球の平均気温上昇が1.5℃を超えることが避けられなくなり、1.5℃が「戻るべきライン」になった今、すなわち、オーバーシュートを現実のものとして考えなければならなくなった今、オーバーシュートの規模はどれくらいか、いつまでに1.5℃に戻ることを目指すのかなどについて、議論し、検証する仕組みが必要になります。しかし、COPの中にそれを議論する枠組みが定まらず、議論に大きく影響するIPCCの作業部会報告書のスケジュールはCOP31後に議論されることになります。

 COP31では、何が話し合われ、合意はどのようなものになるのでしょうか。今回、筆者は、現地に行って、交渉をフォローしてきます。閉幕(予定)10日後の11月30日(月)に、COP31を振り返るオンラインイベントを開催します。ぜひご参加下さい!

[オンラインイベントのご案内]

どこよりも早い?気候変動COP31解説トーク!

• 日時:2026年11月30日(月)13:30〜14:30
• 会場:Zoomウェビナー(オンライン)
• 定員:500名(先着順)
• 参加費:無料(事前登録制)
• お申し込み:https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_woYmNrd8T5Sr6pAIZX4Jpw
• 主催:国立環境研究所 社会システム領域

COP31の閉会予定日から10日後に、会期を振り返ります。解説は筆者(久保田)が行い、聞き手は、家庭や生活からの環境負荷の発生に関するモデル分析を専門とする金森有子主幹研究員が務めます。後半には、皆様からの質問にお答えする時間を設けます。事前のご質問も、登録フォームで受け付けています。イベント詳細はこちら。皆様の参加をお待ちしております!

ⅰCOP31の暫定議題の注釈(FCCC/CP/2026/1)パラグラフ1および24。分担の内容を定めた文書は https://unfccc.int/documents/655031 にあります。なお、同注釈の脚注3は、適用されている手続規則案がこの取り決めにも適用されると注記しています(手続規則については本文3.を参照)。

ⅱFCCC/CP/2026/1(COP31)、FCCC/KP/CMP/2026/1(CMP21)、FCCC/PA/CMA/2026/1(CMA8)、FCCC/SBSTA/2026/7(SBSTA65)、FCCC/SBI/2026/18(SBI65)。いずれも事前配布版であり、確定版で内容が変わる可能性があります。補足暫定議題は、FCCC/CP/2026/1/Add.1(2026年10月23日)、FCCC/PA/CMA/2026/1/Add.1、FCCC/SBSTA/2026/7/Add.1、FCCC/SBI/2026/18/Add.1(いずれも10月28日)。CMP21については補足暫定議題は公表されていません。本稿の数字は、これらを含めた2026年10月30日時点のものです。各文書は、気候変動枠組条約事務局のwebサイト(https://unfccc.int/cop31 )から入手できます。

ⅲ久保田泉(2024)「COP29閉幕:気候資金目標に合意、ようやく1.5℃目標達成に向けた対策加速交渉のスタートラインに」https://www.nies.go.jp/social/navi/colum/cop29.html .

ⅳIPCC第6次評価報告書統合報告書(AR6 SYR)政策決定者向け要約B.7.1および脚注。原文は https://www.ipcc.ch/report/ar6/syr/downloads/report/IPCC_AR6_SYR_SPM.pdf

ⅴUNEP (2026) Limiting Overshoot: Navigating exceedance of 1.5°C and pathways towards return. https://www.unep.org/resources/limiting-overshoot-navigating-exceedance

ⅵ江守正多(2026)「止まらない気候変動、排出削減の重要度は不変」日本経済新聞「経済教室」2026年10月21日。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0892Z0Y6A001C2000000/(電子版は会員限定)

ⅶInternational Court of Justice, Obligations of States in Respect of Climate Change, Advisory Opinion, 23 July 2025, para. 224. https://www.icj-cij.org/sites/default/files/case-related/187/187-20250723-adv-01-00-en.pdf. 日本語による解説は、久保田泉(2025)法の支配に基づく新たな気候変動対策時代の幕開け—国際司法裁判所の勧告的意見を読み解く https://www.nies.go.jp/social/navi/colum/ICJ_AO_climate.html など。

ⅷThe Taku Pakasoa Declaration: Strength in Unity(2026年10月6日) https://www.cop31-pacific.com/taku-pakasoa;グローバル・ムチラオ決定は、決定1/CMA.7(FCCC/PA/CMA/2025/19/Add.1)パラグラフ7。

ⅸIPCC, Statement by the IPCC Chair Jim Skea on suspension of the 65th Plenary Session of the IPCC. 2026-10-19. https://www.ipcc.ch/2026/10/19/statement-by-the-ipcc-chair-jim-skea-on-suspension-of-the-65th-plenary-session-of-the-ipcc/ ;総会の経緯は、IISD, 65th Session of the IPCC (IPCC-65): Summary report, 12–16 October 2026. https://enb.iisd.org/intergovernmental-panel-climate-change-ipcc-65-summaryも参照しました。IPCC第65回総会再開会合について、IPCCプレスリリース(2026年10月29日付)https://www.ipcc.ch/2026/10/29/ipcc-65/ 。

[2026/11/02 記事公開]
[2026/11/05 イベント開催について追記]

過去のCOP解説記事

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