前編では、これまでの研究テーマや、2011~2015年度に実施していた「持続可能社会転換方策研究プログラム」の背景について聞いてみました。

人がある程度集まって住んだほうが何かといいんじゃないかという都市計画の考え方です。環境面でいえば、交通からのCO2排出量も少ないし、家庭からのCO2排出量も少なくて良いだろうと考えられます。ほかにも、人が減ってきてるし、お年寄りが増えているので、効率的な町になったほうが行政サービスのお金も掛からないし、便利でいいといわれています。この研究は修士課程のときからやっています。
シナリオ作りの定番としては、まず、社会を動かすドライビングフォース—社会を動かすもとになっているもの—を挙げていって、それらを影響が大きいもの、小さいものに分類して、同時に振れ幅が大きいもの、小さいものに分類してあげます。次に、影響が大きくて、なおかつ振れ幅も大きいものを取り出して、それらを、ドライビングフォースを左右する要因と考えます。さらに、要因ごとに異なる方向性を整理した上で束ねて、たとえば、グローバル化と技術発展、経済中心みたいな方向と、地域主義化、自然中心という方向との、2つの方向性に分かれたシナリオを示すことができます。これが定番の方法です。
しかし、そうやると、2つに分けたうちの経済発展ではないほうのものが、やっぱり魅力的に書けてないって思ったので、相反する方向を単純に対置して見る考えではなくて、何を目指して進むかを考えることにしました。今回、環境・経済・社会・個人の4つを挙げて、そのうち経済が中心に進む場合を1つのシナリオとして、ほかの3つが中心に進む場合を、もう1つのシナリオとしました。両方とも、何かを目指して進んでいる、発展していることを示したかったっていうことです。