身近なものから見えること、ライフスタイルの将来

vol.2-1 金森 有子 主任研究員<前編>
2016.5.13

インタビュー対象

昨年9月に環境科学会奨励賞を受賞された、金森有子主任研究員にインタビューを行いました。

前編はご自身の研究内容について、後編はライフスタイルの将来について、お届けしたいと思います。

インタビュー内容<前編>

(杦本)環境科学会奨励賞ご受賞おめでとうございます。

(金森)ありがとうございます。

今回の賞はこれまでのご研究に関して授与された賞と伺いました。これまでの研究テーマというのはどんなものだったのですか?

 学生時代から一貫して大きなテーマはずっと一緒のまま、研究できています。基本的には、“家庭部門からの環境負荷排出の推計”が研究課題で、環境負荷と言っても温室効果ガスの時もあれば、水の時もあれば、家庭ごみの時もあったし、家庭といっても、日本なのか、アジアなのか、世界なのかとかでも変わってくるので、そういう意味では変遷はあったけれども、そういうことをずっとやってきました。 私たちの生活が変わると環境負荷の排出にどのような影響を与えるかというのが関心なので、ライフスタイルの部分の研究も頑張ってきたつもりです。

どうしてそうしたテーマに行き着いたのですか?

学生の時に入った研究室で最初に何の研究テーマにするか決めるとき、先生が複数テーマを準備していたのですが、どれがいいのか良くわからないなぁと感じていて。先生に「これをやってみたら?」と言われたから「あ、いいんじゃないですか」と。すごく積極的にやりたかったという風に選んだ訳ではないけれども、楽しくやってきているし自分にあったテーマという感じがしています。

どういうところが面白いですか?

 (内容が)身近でしょ?家庭部門の話だから、例えば平均的な家計消費支出とか、平均的な時間の使い方とかそういう統計の数値が自分の感覚と違ったりするのも、面白いよね。自分が分かっているつもりでいたり、だいたい日本はこういうものだよね、という感覚が合っている時もあるし、違っている時もあるのが面白い。多分、私は、自分が感覚的にどうしても理解できないという事、想像が及ばない事は、できないのだと思う。昔から苦手なものも、例えば目に見えない現象を計算するような、例えば物理でいうと電気とかは苦手だった。目に見えないじゃない?何が起きているか分からなくて。そういう人間だからか、例えば日本全体のセメントの量とか研究の対象だったらピンと来なかったかも。私は多分そういうテーマでは研究できなかったのだろうとすごく思う。想像できる方がやりやすいんだろうね。

ちなみに、どうして研究者になろうと思われたのですか?

 そもそも研究者になろうと思ったというより、環境の事がやりたかった。研究者から始まったわけではないの。最初、研究者に全く興味がなかった訳ではないけども、絶対なりたかったわけでもない。最初は大学に行こうと思った時に、何をやろうかと考えて、環境をやろうかなと思った。環境に携わりたくて、どういう携わり方があるかなと考えた時に研究者というのが一番面白そうかなと思って研究者になったというのが一番正しいかな?最初は昔からの環境問題っぽい、環境汚染物質が出て、それをどう処理するかとか、そっちの方に興味があった気がする。でも、勉強してたら、「ダメだ向いていない、実験とか無理だ」と思った(笑)。

“ライフスタイルの研究”というのをキーワードに挙げられていると思うのですけど、ご自分で環境負荷を減らすために取り組んでいる事などはありますか?

減らすためにやっている事は、まあ無駄遣いは勿論しない様にはしているし、必要以上に部屋を暖めたりとか、寒くしたりもしなかったり、夏とかは暑ければ家に居ない選択肢を取ったりとか。家から逃げ出したりとか。後は一番私の中で我慢しているのは、車に乗るのが大好きで、車を持っていて運転するのがすごく好きなのだけど、多分近くにあると乗っちゃうから、実家に置いて我慢している。持ってきたらおしまいだと思って、ずっと我慢をしている。(我ながら)偉い(笑)。

我慢するというのも難しいですよね。

まぁ、時々爆発しているけど。もう乗らないと死んでしまうかもしれないみたいな(笑)。
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以上がインタビュー前編です。後編もお楽しみに!