ゴミ焼却の仕組み転換によるカーボンニュートラルを目指して
~ 一般社団法人「LCCN®推進研究会」が発足

2025.4.14

 国立環境研究所社会システム領域の藤井実室長は、カーボンニュートラルを目指す新たな仕組み「LCCN®:Life Cycle Carbon Neutral(注1)」の社会実装に向けた準備を進めています。LCCN®は、リサイクルできない廃棄物の焼却熱を利用した製造工場への蒸気供給と、焼却時に発生する二酸化炭素(CO2)からのプラスチック製造によって、カーボンニュートラルの実現を目指します。

 2024年12月2日、藤井室長は一般社団法人「LCCN®推進研究会」を立ち上げ、自ら代表理事に就きました。研究会には、自治体や蒸気を利用する企業、産廃事業者、調査研究機関などが参加しています。2025年4月8日には、「LCCN®推進研究会」の設立を記念するシンポジウムが東京都内で開催され、対面とオンラインで計126名が参加し、LCCNの社会実装に向けた機運を高めました。

注1)LCCN®について詳しく知りたい方は、藤井室長へのインタビュー記事「ゴミ焼却の熱とCO2を工場で活用する『LCCN』の社会実装に向けて」もご覧ください。

LCCN®推進研究会設立シンポジウムの様子。現地参加者も50名を超えた
(画像は個人が特定されないように国立環境研究所が加工しています)

 シンポジウムで藤井室長は、「LCCN®はあらゆる素材が生産から廃棄に至る全てのライフサイクルの中で、カーボンニュートラルを達成できる仕組みです。大きなポテンシャルがありますが、あまり知られていません。皆様と一緒に宣伝や技術開発、事業化を進めていきたくて、この研究会を立ち上げました。LCCN®の導入には、現在の仕組みからの大きな転換が必要です。さまざまな立場の方にご協力いただきながら、国内外で具体的な事業を社会実装できればと考えています」とあいさつしました。

 LCCN®推進研究会では、①ロジスティクス②熱利用③分離・回収したCO2の有効利用を行うCCU技術の3つをテーマとした分科会をそれぞれ設けて、具体的な検討を進めていきます。特に、LCCN®の社会実装の鍵となるゴミ処理の広域化について、行政や市民の理解を得るために活動していくロジスティクス分科会の役割は重要です。

 藤井室長は「これから、日本で焼却炉の建設に必要とされる10年程度を『1期』として、LCCN®事業を国内外で社会実装し、具体的な実例を積み上げていきたいと考えています。2期以降、事業の拡大や国内外の水平展開を進めていく方針です。これからが大変ですが、研究会の設立を第一歩として、社会実装に向けた準備を本格化していければと思います」と意気込みを語りました。

LCCN®推進研究会設立シンポジウムで、参加者に協力を呼び掛ける藤井室長

参考リンク